遅咲きの25歳、堂々のオランダデビュー 山崎直之がたどり着いたプロの道
トライアウトを経てオランダ2部・テルスターに入団
かつてはU−18や19日本代表としてもプレーしたことのある山崎。トライアウトを経てオランダ2部のテルスターに加入した 【写真:FAR EAST PRESS/アフロ】
ミシェル・フォンク監督は「『ユキ』を明日の試合で先発させる。わざわざ日本からベンチに置くために選手を獲らない。彼はまだ言葉の面では不自由だけれど、しっかりと足を使ってコミュニケーションを取ることができるんだ。非常に賢く、そしてうまい選手だ」と9日のデ・フラーフスハップ戦での抜てきを明らかにしていた。
「ユキ」とはFC東京U−18出身で、かつてU−18、U−19日本代表としてもプレーしたことのある山崎直之のことを指す。オランダ人にとって「ナオユキ」は少し呼びづらいということで、「ユキ」というニックネームが定着した。181センチという身長は、巨人ばかりのオランダ人の中でも見劣りしない。
ザキヤマのドリブル――東京学芸大時代はそう異名をとったらしい。だが、日本でのプロ経験はなく、JFLのアスルクラロ沼津で1シーズンを過ごした後、海外でのトライアウトにプロの夢を懸けるようになった。アメリカやフィンランドで高評価を得ながらも、ビザなどの関係もあって願いはかなわなかった。こうした我慢の末に勝ち取ったプロ契約。FC東京U−18時代は「すぐにトップチームでも通用する」と言われていたタレントは、25歳にしてプロデビューを果たす遅咲きの選手になっていた。
地元紙もそのテクニックを高く評価
「山崎直之はヘーレンフェーン戦で再び、多くのテクニックの引き出しを持っていることを見せ付けた。長くかかった滞在許可証の取得も間近だ。チームメートとのコミュニケーションはスムーズとは言い難いが、ユキの適合問題は徐々に減っている。
『彼はオランダ語を流暢(りゅうちょう)にしゃべる日本人の友人がいるんだ。そのことは重要だ。彼はフットボールをする能力を持っている。それはすでに見せ付けている』(フォンク監督)」
後に山崎はヘーレンフェーン戦をこう振り返っている。「相手チームには小林祐希選手もいたんです。それで両チームの選手が僕たちに『ユーキ!』『ユーキ!』と指示を出すものだから、こんがらがってしまったこともありました(笑)。自分は良いプレーができたと思います」