カープ優勝へ広島の街は待ち切れない! 「歴史的瞬間」はもう間もなく

ベースボール・タイムズ

マスコミも過熱ぶりが続く

8月30日、DeNAを破り喜ぶ赤松、鈴木、丸(左から)。この勝利でCS進出が決定した 【写真は共同】

 マスコミの過熱ぶりも尋常ではない。広島市内の書店に行けば、たいてい「カープコーナー」があり、大手有名出版社が発行する企画本から、地元出版社による渋い内容の書籍まで、カープ関連本がずらりと並んでいる。

 各局のカープ中継に関するキャッチコピーがある広島のテレビ局は、カープの試合中継で、近年のテレビ業界では考えられないほどの高視聴率を記録している。そもそも地上波での野球中継自体、首都圏では放送がある日の方が珍しいのが現状だが、カープの主催試合は、キー局の番組調整が難しい週末のナイトゲーム以外は、ほとんどの日で中継が行われている。

 その視聴率は、勝ちゲームでは視聴率30パーセント超えは当たり前。瞬間視聴率では40〜50パーセント近くになることもある。カープが一方的な劣勢の展開で、ワンサイドでの負けゲームでも17パーセントほどの視聴率を稼いだと関係者は語る。月9や人気俳優が主演のドラマでも15パーセントあれば合格点と言われるこのご時世で、信じがたい数字だ。

 ローカルのテレビCMでも、「〇〇企業はカープを応援しています」、「25年ぶりの優勝だ!〇〇(企業名)」といった類のものが、多く見られるようになった。あるテレビ局では、普通のスポットCMのような形で、前日の試合のハイライトシーンに「マジック○」というテロップだけが出るものも登場した。

歴史的瞬間へ向けて

 そのテレビ関係者、特にアナウンサーの間で、密かに話題になっていることがある。「優勝決定試合の実況を誰がやるのか」ということだ。

 広島出身の筆者の実家には、はるか時をさかのぼった1975年の初優勝の時に発売された、記念のレコードがあった。その中の後楽園球場での最後の場面の実況は、今でも台詞がすらすらと出てくるほどだ。今年、ニュースなどで91年の優勝シーンを振り返る時も、当然実況の音声も流れる。のちに吹き替えたものもあるかもしれないが、決定試合で実況を担当すれば、その声は半永久的に残るものなのだ。ましてや、四半世紀ぶりの優勝決定の瞬間、となればなおさらだろう。

 25年ということは、今年新卒で入社したテレビや出版社などのスタッフが生まれる前の出来事ということになる。実際、取材現場で「カープの優勝なんて記憶にありません」という人も、かなり多くなっている。記憶のある、なしを問えば、30歳以上でないと覚えている者はいないだろう。今の20代にとっては、人生初のカープ優勝体験となるのだ。

 歴史は作られるもの。2016年の、あとほんの少し先に起こる出来事は、広島にとっては間違いなく「歴史的出来事」になる。

(取材・文:大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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