リーガ勢、今季も欧州の舞台を席巻するか 厳しさを増すライバルの包囲網

困難なグループを引き当てたバルセロナ

またしても困難なグループを引き当てたバルセロナ 【写真:ロイター/アフロ】

 レアル・マドリーとは対照的に、マンチェスター・シティ、セルティック、ボルシア・メンヘングラッドバッハと同組に入ったバルセロナは、またしても困難なグループを引き当てた印象だ。

 バルセロナは近年のCLにおいて常に主役として君臨し、驚異的な安定感と世界最高レベルの戦力を維持してきた。しかも今夏はアンドレ・ゴメス、デニス・スアレス、サミュエル・ウムティティら若く優秀な選手たちを補強し、リーガでは2連勝と好スタートを切っている。マンチェスター・シティとの対戦に向けては新監督のグアルディオラ、バルセロナから移籍したばかりのクラウディオ・ブラボとの再会が注目されている。

 リバプールの前監督ブレンダン・ロジャース率いるセルティックには、コロ・トゥーレやムサ・デンベレ、スコット・シンクレアが加わった。過去に敗れた経験があるバルセロナにとっては、特にグラスゴーのアウェー戦は難しい試合となるはずだ。

新監督を迎えたセビージャ

サンパオリを指揮官に迎えたセビージャは今季こそグループリーグを突破できるか!? 【写真:ロイター/アフロ】

 悲願の決勝トーナメント進出を目指すセビージャは、昨季に続いてユベントスと対戦することになった。セリエAで5連覇を成し遂げ、今夏に大型補強を敢行したイタリアの強豪に加え、グループリーグでは難敵オリンピック・リヨン、ディナモ・ザグレブと2位以内を争うことになる。

 セビージャは5月のEL決勝でリバプールを下した後、重要な転機を迎えた。ウナイ・エメリ前監督がパリ・サンジェルマンへと去り、新たにホルヘ・サンパオリを新監督に迎えたのだ。

 サンパオリは昨季のチームにガブリエル・メルカド、マティアス・クラネビッテル、ルシアーノ・ビエット、才能豊かなブラジルの司令塔ガンソら、多数の南米人選手を加えた。現時点ではまだ目に見える成果が出ておらず、レアル・マドリーとのUEFAスーパーカップ、バルセロナとのスーペルコパ・エスパーニャ共にタイトルを逃したものの、前者は延長戦までもつれ込む接戦を繰り広げ、後者もスコア的には完敗ながら良いイメージを残した。

 エスパニョールとの開幕戦では6−4と大味な打ち合いを繰り広げ、ビジャレアルと0−0で引き分けたリーガでは不安定なパフォーマンスが印象に残った。だがプレースタイルを一新したチームが指揮官の思い通りに機能するまでには、ある程度の時間を要するはずだ。

 14−15シーズンの決勝でバルセロナに敗れて以降、CL制覇を目標に本格的なチーム強化に乗り出したユベントスは、今夏にダニエウ・アウベス、ゴンサロ・イグアイン、ミラレム・ピアニッチらトップレベルのクラックを多数補強した。リヨンもアルゼンチン出身の若手DFエマヌエル・マンマナ、マルセイユのニコラ・ヌクルらを獲得している。

 ライバルの包囲網が厳しさを増す中、はたしてスペインの4チームは今季もヨーロッパの舞台を席巻することができるだろうか。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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