ランと音楽を楽しむ米国発マラソン大会 観光も楽しめるシアトル大会はおススメ

南井正弘

【南井正弘】

 1998年、カリフォルニア州サンディエゴでスタートした「ロックンロールマラソン」。沿道ではバンド演奏が行われ、ランニングと音楽を同時に楽しむというコンセプトは着実に受け入れられ、30都市以上で開催される世界屈指のマラソン大会シリーズに成長。現在ではラスベガス、シカゴ、ナッシュビルといったアメリカ国内のみならず、マドリード、メキシコシティといったアメリカ国外でも開催されるようになった。今回筆者は6月18日に開催されたシアトル大会に参加。その魅力をレポートする。

音楽で勇気付けられ足取り軽く

スタートは観光名所のスペースニードル。8km、ハーフ、フルのランナーが同時にスタートするというのは日本ではまず考えられない。ちなみにアメリカ北西部を地盤とするアラスカ航空が冠スポンサーだ 【南井正弘】

 筆者がロックンロールマラソンに参加するのは今回で4度目。これまでの3回はすべてラスベガス大会だったが、スタート時、レース中、ゴールエリアのいずれにおいてもバンド演奏が行われ、ランニングと音楽を同時に楽しむことができた。特にフルマラソンで参加した2012年の大会は多くのランナーが辛くなる19マイル(約31km)地点で「GREEN DAY」の『BASKET CASE』が演奏されていて、その軽快なリズムに勇気づけられ、急に足取りが軽くなったのも懐かしい思い出。音楽の力を感じることとなった。

 シアトル大会は8km、ハーフ、フルのすべてのランナーが観光名所として知られるスペースニードルをスタートし、ゴールのダウンタウンのセンチュリーリンクフィールドを目指す。ちなみにこの施設はアメリカンフットボール(NFL)のシアトル・シーホークス、サッカー(MLS)のシアトル・サウンダーズのホームスタジアムである。

スタートコラル(区分け)は申告タイムなどにより30以上に分けられていた 【南井正弘】

ニューヨークシティマラソンでも見られる衣類の回収ボックス。スタート時点の気温は10℃前後と肌寒かったので、一部のランナーはギリギリまで防寒着を着て、スタート直前に、ここへ投げ入れていた。回収された衣類は慈善団体etc.に寄付されるとのこと 【南井正弘】

こんな感じでハイウェイのトンネル内部も走る。どちらかいうとアップダウンの多いコースは目まぐるしく景色が変わり、走っていて飽きがこない 【南井正弘】

 天気予報では雨が予想されていて、実際深夜にはかなり強く降っていたが、運よくスタート時には止んでおり、気温も10℃ほどとマラソンには絶好のコンディションであった。当初スタートは7時に予定されていたが、諸事情により15分遅れに。7時15分にエリートランナーが指定されたコラル1が号砲一発スタートすると、数分刻みでコラル2、コラル3とスタートしていく。自分はコラル3だったが、なぜかコラル2のほうに行けという指示があったので2分遅れでスタートすることができた。

 最初はkm/5分を切るペースでラップを刻むが、アップダウンのあるコースでは、そのペースをキープすることはできない。一般道だけでなく、州道99号線、オーロラアベニュー・ノースという自動車専用道のトンネル内部を走ったり、高架部分を走ったりと、めまぐるしく景色の変わるコースは走っていて飽きない。ダウンタウンに入る高架橋を渡りきって、しばらくすると凄い斜度の坂道が目の前に現れる。自分の周囲のランナーは、一見速そうに見える人も含め、脚力温存のためか、半分ほどがここでは歩いていた。ちなみに帰国後に何人かの日本のランナーに「シアトルのコースはタイムを狙いやすいですか?」と聞かれたが、答えは「NO!」だ。この急な坂以外にも結構高低差があるので、ハーフにしろ、フルにしろ、記録を狙うなら別の大会をオススメする。しかしながら目まぐるしく景色が変わるコースは走っていて楽しいはずだ。

沿道のバンド演奏でテンションが上がり、ここの前だけ元気になるランナーは少なくない 【南井正弘】

州道99号線オーロラアベニュー・ノースは途中でアラスカンウェイ・バイアダクトと名を変える。この高架橋を渡るとセニカストリートに入りダウンタウンへ 【南井正弘】

セニカストリートの急こう配。写真だと分かりにくいかも知れないが、かなりの斜度だ 【南井正弘】

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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