ペルシャの地で触れた外国人サポの“熱” ライター島崎が語るJリーグの魅力(1)
マハディくんが見せた驚きの行動とは?
憲剛選手も素晴らしい選手ですが、わがレッズにはロブソン・ポンテという頼れる司令塔がいますよ、という声は届かず…… 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
「そりゃあ、寺田周平も良いDFだよ。まあ、モリ(森勇介選手)には少し落ち着いてもらいたいけれど。ところで、僕はセパハンにまったく興味がないんだ。実は準々決勝でセパハンとフロンターレが試合をして、一度ここに来ているんだけれど、フロンターレはセパハンに負けてしまっただろ? 本当はフロンターレの試合を見たいんだけれど、同じJリーグの浦和が決勝でセパハンと戦うということで。まあ、フロンターレの敵討ちみたいなものだから、それなら見てみてもいいかなって」
ここで、『レッズは昨年のJリーグチャンピオンなんですよ。フロンターレはまだ、リーグ優勝はしたことないんですけどね』なんて言ったら、マハディくんの話が止まらなくなりそうなのでじっと我慢、我慢。すると彼、「君は記者ということは、今日の試合の前日練習は行くの? もし行くなら、スタジアムまで同乗させてくれないかな?」と言います。
「いや、今日はメディア以外はスタジアムに入れないよ」と言っても、「スタジアムの周りにいるだけだから」と言って譲りません。仕方がないので彼をタクシーに乗せ、スタジアムの外でいったん別れました。いやー、こんなところでまさか異国のフロンターレサポーターに遭遇するとはと感慨に浸り、フーラド・シャハール・スタジアムのメーンスタンドでレッズの練習風景を眺めていると、なんとマハディくんが隣に座っているではないですか!
「どうやって入ったの?」と聞くと、「係の人にライターだって言ったら、入れたよ」とのこと。うーん、困ったなあ。
セパハンのルカ・ボナチッチ監督の記者会見が始まりました。「浦和にはロブソン・ポンテという素晴らしいプレーメーカーがいますが、彼への対策は万全なのでしょうか」などと、やたらレッズに詳しそうな質問をする現地記者らしき方がいるので、「ほぉー」と感心して視線を向けると、質問してるの、マハディくんじゃないですか! ダメダメ、質問したら! あなたは記者じゃなくて、フロンターレの一サポーターなんだから。
結局マハディくん、最後まで会見に居座り、爽やかに僕に手を振ってどこかへ去って行きました。彼、あの後どうやって街中まで帰ったんでしょう?
海外でのJリーグの認知度は低いと思っていましたが……
海外でJリーグの認知度は低いと思っていましたが、それは大きな間違いでした 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
浦和が初めて海外アウェーを戦ったオーストラリアのシドニーでは、現地記者がレッズのスタメンメンバーをすべて予想し、見事的中させていました。試合前日の現地紙では詳細なプレビュー記事が掲載されていて、当時のレッズの指揮官であるホルガー・オジェック監督の戦術が詳細に分析されていました。そしてイラン中部に位置するイスファハンでは、マハディくんが熱いまなざしで僕に語りかけます。
「今回はアフガニスタンからバスを乗り継いで何とかここまで来たんだ。本当は、一生に一度でいいから等々力でフロンターレの試合を見たいんだけれどね。でも、今の僕には日本に行けるほどのお金がない。それでも、僕は小さなパソコンの画面でフロンターレの試合を見るだけで興奮できるし、幸せな気分に浸れる。フロンターレのサポーターはいつだって最高だよ! 僕もカブール(アフガニスタンの首都)から、彼らと同じくらいの大声で声援を送っているよ」
あれから約9年の歳月が経ちました。マハディくん、元気かなあ。また再会したら、「やっぱりケンゴは最高だよ」って言うんだろうなあ。今の中村憲剛選手のプレーを見てしまうと、激しく同意してしまうだろうな。憲剛選手は今、右足首を負傷中だけれど、多分8月20日の埼玉スタジアム2002でのレッズ戦では、対戦相手として立ちはだかるんだろうな。嫌だなあ。でも楽しみだなあ。
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