エースで主将を務めた柳裕也、日米大学野球で見せた好投と献身

高木遊

「柳を主将にしたこと」が優勝の要因と監督

柳(写真右)の元チームメイトで裏方としてチームを支えた山下恵輔(写真左) 【写真=高木遊】

「誰よりもベンチで声を出し、グラウンドでもグラウンドの外でも背中で引っ張ってくれました」と、柳の存在感の大きさを語るのはマネージャーとしてチームに帯同した山下恵輔(横浜商科大)だ。

 中学時代は、都城リトルシニアでエース・柳、4番・山下という関係だった2人は、ともにチームメイトやスタッフから全幅の信頼を置かれる主将と裏方に立場を変え、今大会の優勝に多大なる貢献を果たした。

「どうしても学年やリーグの違いで距離が出てしまうので、それを埋めたかった」と、柳は代表選考合宿中から全部屋を回り、50人もの候補選手たち全員と会話を交わしたり、自ら体を張ってチームに笑いをもたらしたりと、分け隔ての無い気さくな人間性でチームの輪を深めていった。

 こうした柳の姿に、「こちらが言葉をかける前に行動をしてくれるだろうと期待して柳を主将にしましたが、本当に主将にして良かった。大会後にもそう言いたいですね」と語っていた横井監督は、優勝後の記者会見で優勝の要因を問われ、真っ先に「柳を主将にしたことです。柳を中心に早い段階で“戦う集団”をつくることができました」と言い切った。

 そして、柳は「元気で気持ちの強いチームをつくることができました。チームメイトやスタッフに感謝しています」と殊勝に語った。それを聞き横井監督が「“俺がやってやったんです”くらい言ってもいいんだぞ」と突っ込まれ見せた晴れやかな笑顔に、日の丸を背負う代表の主将という重責を務め切った充実感がにじみ出ていた。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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