エースで主将を務めた柳裕也、日米大学野球で見せた好投と献身
エースで主将を務め、最高殊勲選手賞を獲得した柳裕也 【写真は共同】
クレバーな投球が光った第5戦
そのため第4戦までに奪った得点は、わずかに「5」。最終戦こそ5点を奪い、サヨナラ勝ちで優勝を決めたが、緊迫した投手戦で柳、佐々木千隼(桜美林大)、田村伊知郎(立教大)、齊藤大将(明治大)ら投手陣が、気迫と冷静さを兼ね備えた投球で失点を最小限に留めたことが勝因に挙げられる。
柳の投球で特に有効だったのが、140キロ台前半ながらも空振りが奪えるキレのあるストレートと、縦に大きく割れるカーブのコンビネーションだ。12三振を喫した第2戦後に大学米国代表のジョージ・ホートン監督は、「カーブでカウントを取られ、カーブと予想していたタイミングでストレートが来るなど、非常にスマートな配球をされ対応できなかった」と脱帽した。
ただ、これに黙っているメジャー予備軍の選手たちではなかった。「相手はデータを取って、われわれの適性を見て戦っている印象です」と横井監督が大会中に語っていたように、第5戦の米国打者陣は柳の低めの変化球に簡単に手は出さなくなっていた。
だが、それでも自らの投球が揺らぐ柳ではない。「試合に入って感じたことを投球に生かせました」と試合後に語ったように、カーブで打者の目線を上げさせて、低めのカットボールやチェンジアップに手を出させるように修正。コースを突くストレートも絶妙で、5回2死で佐々木にマウンドを譲るまで7三振を奪い、相手打線を手玉に取った。