手倉森監督「壮行試合ではなく強化試合」 U−23南アフリカ戦メンバー発表会見

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本大会メンバーの枠組みは私の中にすでにある

本大会のメンバー構成を問われた手倉森監督(右)は「枠組みは私の中にすでにある」とコメント 【松岡健三郎】

――試合が行われるアルウィン(松本平広域公園総合球技場)の印象は? 国内最後の試合をどのようなものにしたいか?

手倉森 サポーターも(松本)山雅のチームで非常に盛り上がっている場所で、サッカー専用スタジアムで雰囲気がある。ちょっと風が強い印象があるんですけれども。代表としてなかなか行けない地域の試合になりますので、長野の方々にぜひ代表を身近に感じてもらえるような、そういったゲームをできればなと思います。

――アジア最終予選からけがをして復帰した選手がいると思うが、どういうところを期待したいか? 見定めたいところについて、狙いがあれば教えてほしい。

手倉森 けがからの復帰組は全力でやれているかどうか。1試合やれるくらいのコンディションでないと困る。本大会は連戦なので、またより人数が絞られた中での戦いになるので、タフに戦い抜けるフィジカルとメンタルが備わっているか。これから残された期間でそこまでもっていけるか、その計算をしてあげないといけないなと感じています。それを計算した上での絞り込みになってくる。

――橋本がDFとして登録されているが、彼の起用法は? また、ここに入っていない岩波拓也(ヴィッセル神戸)のけがの状況を教えてほしい。

手倉森 拳人は守備的ボランチから後ろの守備者としてのマルチプレーヤーと。今回、DFの方に登録していますけれど、彼の能力はどこでもできると、ボランチから後ろは。それはガーナ戦で見て、トゥーロンには連れて行けなかったので、今回もう1回トライをさせてみたいなと。岩波は今の時点でちょっと走り始められているというような状況で、7月の初旬にはもしかすれば練習にも復帰できるという報告をメディカルからは受けています。非常に元気に取り組めているということで、そこを待ちながらいたいなと思います。

――中島選手が13番の理由を教えてほしい。

手倉森 10番に戻ったら、完全復帰かと皆さんも思うじゃないですか。まだここに来るまでに、この間の節(18日のアルビレックス新潟戦)15分(実際には約20分)しか出ていない選手をいきなり元に戻すわけにはいかないなと(笑)。彼が欠けていた分、矢島が10番を背負って、ガーナ戦でもトゥーロンでもいい仕事をしてくれている。今の時点では時系列からいっても矢島が10番だなと。10番に戻す力を、彼にはこの試合で表現してくれればなと思います。

――試合をしてからメンバー発表の7月1日まで時間が短い中で、監督の中では発表するメンバーはあらかた決まっていて、ここで最終チェックという気持ちなのか? ここでもう一度きちんと全容を見定めてから決めるのか?

手倉森 もう私の心理を全部読まれたような質問で(笑)。この試合が終われば1日まで時間がないと。ある程度、メンバーの枠組みというのは私の中にすでにあって、でもこうやって復帰組が今Jリーグに帰ってきている中で、ここでチャンスを与えるのが自分のやり方だなと。そこは小さな部分ではありますけれど、差し替えもまた可能になる場所かなと。残り少ない日数で、そこだけ考えられればなというところまで、今僕のところにあります。ただ、これまでの五輪チームで必ず差し替えがありますからね、選んだ後にね。だから、ここにいるメンバーは間違いなく、そういった準備、心の準備をいつもしておかないといけない。そういったメッセージも彼らには伝えてあります。

スピードとパワーを出す覚悟を持たなければいけない

――この試合でOAに内定している2人を起用しないのは、監督の考えか? あと、もう1人濃厚とされている興梠慎三と浦和レッズが難色を示しているという情報があるが、その場合はもうFWはOAはいらないと腹をくくっているのか?

手倉森 OAを呼ばないのは僕の考えですね。今、Jリーグは1st(ステージ)の優勝争いが佳境で、2ndステージもまた始まる。またこの6月、7月はものすごく試合が立て込んでいる。そこでOAを呼んだときのコンディションというのは少し考慮しました。あと、本大会で彼らを交えたときに、いよいよそのときにお披露目できればなと。強化試合であって壮行試合ではないと言っているのも、そういったところが関係している。OA組の選手たちは、ブラジルに行ってから、その時間でも十分すり合わせすることができるなと自分の中では自信があるので、その時でもいいなと感じています。(OAの)もう1枚の話が出ましたけれど、こっちは待っている状況です。

――中島をFW登録にしている意図は?

手倉森 メンバー構成を考えたときに、トゥーロンに連れていきたかった伊東純也を(けがで)連れていけなかったと。で彼をまたサイドハーフで試したいと思ったときには、翔哉の能力を見たところ、サイドハーフとFWともしくはトップ下ができると考えて、今回はFWで登録している。トヨ(豊川)も復帰組で、もともとはサイドハーフ。彼らにその役割を今回与えたときには、彼がまたポジションを替えると。もともとこのグループは2つのポジションをやれるという条件を持っている選手から活動が始まっていますから、こういうことも可能なんだなということですね。

――監督のやり方を知っている選手たちだと思うが、南アフリカ戦において戦術的な部分でテーマはあるか?

手倉森 まずコレクティブさというのは必ず出さなければいけないと。このチームでのやり方としては。守備でのコンパクトさと攻撃での距離感でテンポの利いたサッカーを表現できればと思います。システムのオーガナイズは基本的には4−4−2、4−2−3−1をベースにしながら、ゲームの流れの中で彼らがまた顔色を変えてくれればと期待しながら、それが機能するような布陣でやっていきたい。

 とにかくボールも人も動いて、今回、過密なJリーグの中でのゲームになりますけれども、スピードとパワーというのを出す覚悟を持たなければいけないと。(本大会での)マナウスでの初戦は過酷な環境の中で体力を振り絞らなければいけないですから、そこでのタフさを考えれば、南アフリカを翻弄(ほんろう)するくらいの活動量をぜひグループで表現してほしいと思います。

――トゥーロンを踏まえて、どのようなところを発揮していってほしいか?

手倉森 トゥーロンでけっこう対戦国は別の国ともやっている試合の後、日本とやるときに顔色を変えるんですよ。もともと他の国でも若い選手たちが対戦相手によって柔軟に戦えるということにトゥーロンで気付かされ、自分たちもそれを絶対に身につけなければと思っています。

 もちろん、われわれのストロングでゲームが進めばいいですけれど、世界での戦いはそんなことはない。恐らく南アフリカ戦もそうなるだろうと。そうなったときに、攻勢と劣勢をしっかり判断して、スピードとパワーを示すということ。90分、スピードを上げ続けるサッカーができるわけはないと考えた時に、メリハリが必要になってくるので。そういったゲームコントロール力をこのチームには期待したいなと思いますね。それができなければ本大会は難しくなるよという話は、トゥーロンからも今回もずっと言い続けてトライさせたいなと思います。

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