水谷、美誠らが語る中国卓球の強さ 最強ライバルを攻略する方法はあるか?
美誠「中国選手と戦うのが楽しい」
伊藤は「戦うのが楽しい」と中国選手にまったく恐れを抱いていない 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
伊藤は4月の五輪アジア予選で丁寧に勝利。そのときは手足の長い選手が苦手とする胸元を徹底的に突いて、金星を挙げた。今回もそこを狙ったが、さすがに現女王に2度も同じ攻撃は通用しなかった。逆に左右に振られ、最後は足がつりそうになるほど疲弊させられたという。
それでも伊藤はこう言い切った。
「最初はすごく回転をかけてきて、だんだんかけてこなくなるとかそうした戦術的な部分はうまいですし、戦ってみてやっぱり強いなと思います。でも、中国選手と戦うことを特別に意識することはないですね。むしろ中国選手ともっと対戦したいですし、ノンプレッシャーなので戦っていて楽しいです」
自分との戦いに勝利する必要がある
「緊張は全くなかったですね。それより自分の力がどれだけ通用するのか試せることがすごい楽しみでした。実際に戦ってみて、競ったときの点の取り方だったり、バック対バックのときの体の強さだったりが自分より全然上だなと感じました。そういうことをもっと思い知るためにも、たくさん中国選手と対戦したいですね」
ベスト8に残った早田(右)は丁寧と対戦。完敗を喫したが、得るものは大きかったようだ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
もちろんまだ10代半ばの伊藤や早田は、経験した試合数で年長の選手たちには遠く及ばない。だからこそ怖いものなしなのだろうが、これまで何度も中国選手に苦杯をなめ続けてきたベテラン・中堅からしてみれば、その苦手意識を払拭(ふっしょく)するのはかなりの困難を伴うはずだ。
水谷は、勝利するためのポイントとして「自信」を挙げた。倉嶋監督はそれに加えて、「スタートでどれだけプレッシャーをかけられるか」という点に重きを置く。技術、戦術ともに通用する部分は見えてきており、それを完璧に遂行した上で、心理面で優位に立つことが日本の選手には求められる。独特な雰囲気がある五輪という大舞台で、いかに己を貫き通せるか。打倒中国を果たすためには、すなわち自分との戦いにも勝利する必要があるのだ。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)