デスマッチのリングに入る船木誠勝 「有刺鉄線とか電流爆破とか興味ない」
「死ぬまで2度目の引退はない」
「死ぬまで2度目の引退はないです」と話す船木 【超戦闘プロレスFMW】
大仁田選手の引退には付き合わないです(笑)。引退は2回するとクセになるんです。テリー・ファンクもそう。自分は1回引退してますから、2回目はない。大仁田選手は何回も引退、復帰をされてますけど、『引退するなら、どうぞしてください』。ただ、相手はしますよ。でも、大仁田選手が引退しても、自分はプロレス界にいますから。まぁ大仁田選手が嫌がる相手と試合をすれば、お客さんは入ると思いますよ(笑)
――船木選手は復帰するにあたって、随分悩まれたんですよね?
7年、長い間、悩んだ末の復帰でしたから、死ぬまで2度目の引退はないです。
――4.27後楽園での試合に関して、何か言いたいことはありますか?
正直、4.27後楽園は悔しかったですね。負けたこと以前に、FMWという団体が今も残っていて、特別対抗試合じゃなく、そこのリングで、UWFとやったことが悔しかった。UWFという団体は残ってなくて、バラバラになって、選手が寄り集まってグループになったというのが悔しかった。UWFという団体は今はない。FMWはまた団体を立ち上げて、大仁田選手がいて、下の選手がいて、組織を経営する人、支える人がいる。UWFには、そういう人がいないということです。
――UWF復活という話はなかったんですか?
ないですね。それは立ち上げる人、支える人がいないとできないですから。我々は闘うだけですから。それに、今回ここまでU系の選手が揃ったことにビックリしました。逆に言えば、それをさせてくれたのが大仁田選手なんだろうなと思いました。今のFMWという団体が立ち上がってから1年経って、その団体があったからこそ実現したわけですから、そういう意味ではちょっと悔しかったですね。FMWのファンもあれだけ集まったわけですから。
――今のFMWも、1年前の旗揚げ当初の4〜6月あたりは厳しかったんです。特に地方は。だんだん力を付けてきて、そしてUWFの力で、「バーッ」と来たんです。
どこまで行くかですね。これを見ちゃったら。来年の今頃は、もっと上を行く闘いをしていかないと、ファンの人は離れていきますから。刺激、刺激、刺激ですから、プロレスは。もしかしたら、来年の今頃は違うところと抗争してるかもしれないですよ。たとえば、SWSとか(笑)。飽きるんですよ。今回新鮮だったのは、昔のUWFを再現させたんですけど、そこに昔のFMWの総帥だった大仁田選手がいたということが重要だったんです。自分はUWFの第2世代ですから。そこに佐山さん、前田(日明)さん、高田(延彦)さんあたりがいたら凄いことになってたと思いますね。UWFは集まりが悪いし(笑)、引退してる人もいるんで。ただ、第2世代より、もっと下の世代は育ってる。
大仁田に食べられないように抵抗していく
有刺鉄線とか電流爆破とか興味ない。この間も、危険なオモチャが並んでるだけにしか見えなかった。選手個々も驚異に感じる選手もいないんで、危険なオモチャで武装してる荒くれ者だなぁという気はします。そういう闘いに興味ないんで、自分たちは自分たちの闘いをやっていくだけです。どこまで行くかわからない。いつまで続くかわからない。自分も今47歳で、キャリア31年になりますけど、この先30年やるとか、どう考えても無理ですから。77歳で現役とかない。だから与えられた闘いを大事にしたい。これから先は歴史に残るような試合をしていきたい。
――船木選手がカードに入っているかどうかで、お客さんの沸き方も違ってくると思います。
いい意味でも悪い意味でも、FMWに取り込まれないように試合したいと思います。
――UWFも一夜限りの復活とかすれば、FMWとの抗争ももっと続くのでは?
スポンサーがいれば(笑)。プロレス界も景気がいいわけじゃないし、やれば入るという時代じゃないですから。カード次第ですよ。それは重要。どことどこ、誰と誰がやるという部分で、ファンの需要があれば、今でも入る。ただやるだけじゃ入らない。ファンの人も見てくれない。
――正直、2月までの後楽園大会は、必死でフロント陣が営業して、やっとほぼ満員になったんですけど、4.27後楽園はほとんど営業しなくても満員になりました。
それはショービジネスの基本。営業しなくてもファンの人が見に来てくれる。ファンの人が見に行きたいからチケットを買う。これが基本。ファンの人が見たくなるようなカードを組むのが、営業、フロントの仕事。
――ファンが見たい試合と、選手がやりたい試合とは違う?
選手がやりたくない試合をファンは見たいんです。選手はずっと試合をやってると、守りに入る。常に攻めに行かないといけない。『彼とはやりたくない』とかいうのを、試合させるのがフロントの仕事。
――今回の対抗戦は、試合を受けた船木選手も大仁田さんも尊敬します。
大仁田選手は今まで“格闘プロレス”を通ってきてないと思うんで、58歳にして初めてやるということで、正直きついと思います。それをやっちゅうのが、あの人なんで。その意味では尊敬します。出た物を何でも食べちゃうというか。ただ、食べられないように自分は抵抗して、やっていくつもりです。