前田健太、打球直撃にもめげず…今後を期待させたNYデビュー戦
玄人好みも慣れられたら厳しい…
打球が直撃して「逆にアドレナリンが出た」という前田。打者との駆け引きで、丁寧な投球を披露した 【Getty Images】
一方、前田にはシンダーガードのような豪球、あるいは田中将大(ヤンキース)のスプリッター、ダルビッシュ有(レンジャーズ)のスライダーのような支配的な武器はない。相手打者をかわしていく投球には玄人好みの見応えがあるものの、“慣れられたら厳しいのではないか”という不安は消えない。
案の定、今季ここまでも序盤は好投するものの、打線の3回り目の対戦では被打率3割4分9厘と苦しんで来た。そんな背景、数字を見れば、メジャーでの長期の活躍に少なからずの懸念を感じずにはいられない。
自分を過大評価しない丁寧な投球
「バッターの苦手なコースだったり、前回投げた時に打ち取れたボールを頭に入れながら投げたし、打たれたボールも頭に入れながら投げていた。それがいい結果につながったんじゃないかと思います」
言葉の節々に聡明さを感じさせる前田だけに、試合後のコメントも口先だけのものには思えなかった。打者を圧倒する球威がない代わりに、可能な限り慎重に球種を選び、低めにコントロールしている。自分の力を決して過大評価せず、丁寧な投球でサバイバルを続けている。
「(勝てない間は)結果も内容も伴ってなかったので、少し苦しい思いもしました。しかしそれは覚悟の上でこっちにきたので、しっかりと受け入れて、いろいろと工夫しながらやっていくしかない。久しぶりに打たれる試合が続いた。日本ではこういう結果になるのは少なかったので、ピッチングについて考えることができた時間かなとは思います」
ミニスランプ脱出で今後に期待
ドジャースの日本人ルーキーは、エースというより“サバイバー”。うまさとハートの強さを武器に、新天地で生き残る術を模索し続ける。考えながら進むメジャーでの道は、前田とそのファンにとって、スリリングで、そしてたまらなく楽しみなものになっていきそうである。