ダニエル太郎、全仏で感じた悔しさの訳 視界に入ったトップ選手からの勝利
「まだまだ」の言葉の深層とは?
かつては視界の外にいたトップ選手からの勝利が、今は想像できるところまできた。しかし、ダニエルは「まだまだ、遠い道」と言う 【写真:ロイター/アフロ】
「第3セットまで、良いリターンができていなかった。いくら第1セットを取れても、勝つのは難しいと思う」
「体力的に負けていて、第3セットでは僕の息も切れていた」
具体的な反省点を連ねながら、彼は言う。
「まだまだかな〜という感じです」
まだまだ……その言葉の深層とは、かつては視界の外にいたトップ選手からの勝利が、今は想像できるところまできたという手応えだろう。約2年前、初のグランドスラムでラオニッチと対戦した時と、今の自分を照らし合わせて、彼は言う。
「あの時はレベルが遠過ぎた。でも今回は、ベースラインからでも良いレベルでプレーできていた。もっと全て100パーセント完璧にできたら、どこまで行けたのかなと考えてしまう」
焦ることも、夢を語ることも好まぬ彼が、悔しさを隠せぬ理由がそこにあった。
トッププレーヤーと伍して戦えるに到るまでを、「まだまだ、遠い道です」とダニエルは言う。
焦らず、しかし確実に――その遠い道を、彼は進む。