元捕手右腕ジャンセンが前田の命運握る 適応力の高さでMLB屈指の守護神に
転向から1年足らずでメジャーデビュー
そしてドジャースの判断は間違っていなかった。09年の7月29日に1Aのチームに投手として登録されると、わずか1年足らずの翌10年の7月24日にメジャーデビューを飾っているのだ。もちろんドジャースの先見の明もあってのことだが、右も左もわからない状態から投手を始めながらも対応していったジャンセンの順応力の高さを忘れてはならない。
「初めてブルペンで投げた時からまったく違和感を抱かなかった。コーチから感想を聞かれ、『何も感じない』と答えたぐらいだった。今もそうなんだけど、無理なく自然に投げ続けているだけなんだ」
大きな故障もなく「毎日学んでいる状態」
「どの投手もそうだと思うけど、自分の場合は特に投手として毎日学んでいる状態。試合ごと、打者ごと、場面ごとに投げる状況は常に違う。そこで経験できることが確実に投手として成長させてくれている。その中でどうやって投げていくのかを理解していったんだ」
まだ投手を始めて8年目。その分伸びしろも相当に残っているはずだし、28歳(今年9月で29歳)という年齢を考慮しても、投手としてのピークを迎えていないだろう。これからますます円熟味を加えていくことになるのだろう。
最後にちょっとだけ意地悪な質問をぶつけてみた。スイッチヒッターとして打者への未練はないのだろうか。
「未練なんてまったくないよ。あの時に下した決断を良かったと思っているし、ピッチャーへの転向を進言してくれたチームに感謝しているよ」
ジャンセンは屈託のない笑顔を見せてくれた。