上田藍「突き抜けたメンタル」で進化中 トライアスロンの第一人者が見据える頂

スポーツナビ

私はまだ伸びると信じ切っている

今大会で優勝したジョーゲンセン(右)の身長は180センチ近く、上田の小柄さが際立つ 【写真は共同】

 身長155センチ、体重45キロ。170センチ近い外国勢と並んで走ると、体格差はいかんともしがたい。それでもその小柄な体のどこにそんなパワーを秘めているのか疑問に思うほど、上田の走りは力強い。今大会でもランで自己ベストを3秒更新した(33分48秒)。山根コーチは愛弟子の充実ぶりに目を細める。

「メンタル的には今、突き抜けていますね(笑)。どこまでいっちゃうんだろうという感じです。ずっと私はまだ伸びると信じ切っていますし、それに対して貪欲にやっています。常に100パーセントで練習にも取り組んでいるので、こちらが抑える側です。そうしないとやってしまうので……。今年で指導を始めてから8年目になりますが、体力的にもメンタル的にも昔より強くなっています」

 北京、ロンドンと過去2回の五輪はそれぞれ17位、39位と満足いく結果を残せなかった。しかし今回は違う。リオ五輪では一番良い色のメダルを目指している。モチベーションとなっているのは、ジョーゲンセンの存在だ。ジョーゲンセンはロンドン五輪で38位。写真判定で上田より1つ上の順位に行ったに過ぎない。その選手が4年間でレベルを大きく上げ、リオ五輪では金メダルの有力候補となっている。レース後は常に笑顔だった上田も、ジョーゲンセンに対してはライバル心をのぞかせた。

「今回はジョーゲンセン選手に付いていくと10キロを走り切れないようなスピード差を感じたので、離れていく姿を見ながら『悔しいな』と苦笑いをしていました。でも今日、表彰台に上がって国旗がなびくのを見て、これが真ん中だったらどれだけうれしいのかを想像していたら、自然とモチベーションが沸いてきました。表彰台の隣にジョーゲンセン選手がいて、国旗が上がってというイメージは吸収できたので、金メダルに向けてしっかりとやっていきたいと思います」

 リオでの悲願達成へ、超えるべきハードルは高い。ジョーゲンセンとはランで1分以上の差がある。それでも自身が求める限り、人は成長する。果たしてどこまでその差を縮めることができるのか。それは五輪までの積み重ねに懸かっている。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント