新強竜打線の4番・ビシエドの打撃論 球団創設80周年に5年ぶりの歓喜を
メジャーリーガーの品格と愛される要素
谷繁監督(左から二人目)もビシエド(右端)の対応力の高さを評価 【写真は共同】
昨季こそメジャー出場はなかったが、ホワイトソックスに在籍していた12年にシーズンには25本塁打、14年にも21本塁打などメジャー通算66本塁打を放っている。その実績は、打席内での“余裕”と“風格”につながっている。
打席内での立ち振る舞い。ビシエドは、際どい内角攻めにも苛立つことなく、三振に倒れてもバットやヘルメットをたたきつけることはしない。最近では勝負を避けられる形での四球が多くなっているが、「打ちたい気持ちもあるが、そういうときこそ落ち着いているんだ。四球はチームのためにもなるから、四球を選んだときはヒットを打てたんだという気持ちでいる。だから打席には落ち着いて入れているよ」と焦る素振りも見せない。その上で、周囲に対してエラぶる態度もなく、二塁打を放った際にレガースを受け取りに来たボールボーイにお辞儀で感謝の意を表す誠実さは、今後も日本のファンから愛される要素になるだろう。
気になる来季の去就もまずは歓喜を!
過去、タイロン・ウッズとは推定年俸5億円で2年契約を結び、4年目には6億5800万円という破格の条件もあった。打率ランキングでトップを走っていた来日1年目のエクトル・ルナとは、開幕から約2カ月後という異例の早さで2年契約にこぎつけた前例もある。ナゴヤドームでもホームランの量産を可能とする類い稀なスラッガーであるビシエドを簡単に手放すことは許されず、落合博満GMの手腕も試されることになる。
とはいえ、まずは今シーズン、今はその豪快な打棒を愉しもうではないか。ビシエドが本塁打王を始めとするタイトルを獲得するような活躍を見せ、その勢いがチーム全体に波及すれば、5年ぶりの覇権奪回も現実味を増してくるはずだ。球団創設80周年。頼もしい背番号66が、メモリアルイヤーのカギを握っている。
(文・高橋健二/ベースボール・タイムズ)