ゴールを“忘れてしまった”大迫勇也 攻撃に迫力を欠くチームをけん引できるか
強いられたウイングへのポジション変更
ウイングへのポジション変更を強いられるなど、ストライカーとして厳しい状況に追い込まれている 【Getty Images】
ストライカーにとっては、難しい状況であると言わざるを得ない。しかも、日本代表チームでの、自分の居場所も失っていた。「これで僕がどうなっていくのか、自分でも分からないんです」と大迫は心の内を吐露していた。ケルンでの今後というよりも、自分の未来に対する疑問符が浮かんでいるようだった。
大迫のケルンとの契約は、2017年までとなっている。つまり、このままなら来季が最後のシーズンとなるわけだが、ザギオグルは大迫がこの夏以降もケルンのユニホームを着続けることになると確信している。シュテーガー監督が大迫に大きな信頼を置いているというのが、その証拠だ。
では、大迫のケルンでの今後が安泰かというと、リンベロプロスの頭には疑問符が浮かぶ。大迫が残り続けることが100%確実であるとは言えない、というのだ。「マネジメントする側も含めて、非常に多くのことが極めて迅速に動くから」というのが、元ケルン広報の言い分だ。
攻撃面で迫力に欠けるケルン
大迫は攻撃に迫力の欠けるケルンをけん引していくことができるだろうか? 【Getty Images】
この試合、大迫はハーフタイムで交代を告げられている。そして次の試合は、またもホームのファンの前でのものとなる。「ユウヤには、やれているんだ、という感覚が必要だ。ホームのファンはたいてい、もっとやれるはずだと期待をかけてしまうものだが」とケルンのディレクターを務めるヨルク・シュマトケは数週間前にそう語った。大迫とチームメートは、自由な気持ちでプレーできるはずなのだ。UEFAヨーロッパリーグの出場権には届かず、降格の危機におびえるでもない。リーグはすでに、終わったと捉えることもできるはずなのだから。
現地のジャーナリストたちは今シーズンについて、ポジティブな結論を導き出している。「残留を決めるのが、昨季よりも1試合早かった。この成果は極めて大きな自信になっている」と、ラインシャイトとリンベロプロスは声をそろえる。「チームは大きな進歩を見せた。しっかり力をつけているし、良い方向に向かっている」というのが両者の一致した意見だ。決して華やかなプレーをしているわけではないが、今季のパフォーマンスは昨季の守備的なサッカーを上回るものだ。
「あちらこちらで、“プレーが欠けている”という時間はまだ目につく」とザギオグルは改善の余地があることを指摘する。例えば、攻撃面でのパンチに欠ける面も、その一つだろう。「17日のマインツ戦(3−2)でようやく爆発するまで、ケルンは29試合で29ゴールしか奪っていなかった。当然ながら、もっと早く安心して息をできるようになるには、これでは不十分だ」とラインシャイトは語る。
だからこそ、われわれの思いは大迫へと戻っていく。1276分間も無得点というのは、ストライカーとして受け入れがたいことだ。日出づる国から来た男は、自らが取り組まなければならないことを見極めなければならない。おそらくは、新たなシーズンが始まる前に。
ひとまずは、時計をゼロへとリセットしよう。ケルンのシーズンは、事実上静かな終わりを迎えている。大迫は新たなシーズンを、また自分の手で切り開けばいい。
(翻訳:杉山孝)