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1部残留へ、清武に寄せられる大きな期待
ハノーファーで厳しい評価の山口と酒井

最下位に沈むハノーファー

ブンデスリーガで最下位に沈むハノーファー。けがから復帰した清武に大きな期待が寄せられている
ブンデスリーガで最下位に沈むハノーファー。けがから復帰した清武に大きな期待が寄せられている【Getty Images】

 新聞の見だしに祈りのようなフレーズが並んだり、いやに楽観的なものや希望的観測で紙面が占められた時は、そのブンデスリーガクラブの状態は怪しいとみることができるかもしれない。


 だが、ハノーファーの状態を知るのに、もはやメディアに頼る必要はない。順位表を見れば、一目瞭然だ。ハノーファーはもはや、ほぼ望みが絶たれたように見える。第24節までを終えてリーグ最下位に沈んでおり、残留ラインは決して近くない。1部リーグに生き残れるとは、ほとんど誰も信じてはいない。


 だが、少数ながらも残留を信じる人間は存在する。カルステン・ズーマンはその一人だ。「このクラブはもう2部暮らしの話を始めている。そんなチームのやる気を、どうやって上げられるというんだ? 悲惨な状況だよ」。1985年に1部昇格を成し遂げたヒーローにして、かつてのキャプテンである男は、第23節シュトゥットガルト戦(2−1)前のパネルディスカッションで嘆いた。


 それでもズーマンはこう話す。「まだできるはずだ」。まだ勝ち点30以上を稼げるだけの試合数は残っている。

長年のツケにより競争力を失う

 昨シーズン13位のハノーファーが残留争いをするまでに転落したのはなぜなのか? また、実際のところ、生き残りのチャンスはどれほどあるのだろう。


 地元紙『ハノーファーシュ・アルゲマイネ・ツァイトゥング(HAZ)』のディルク・ティーテンベルクは否定的な見方をする。「昇格を成し遂げた後、クラブ内に競争が存在したことはなかった」と、バッサリ切り捨てる。特に、重要なポジションで継続性が見られなかったのだ、と。


 当初、2009年にヨルク・シュマトケをスポーツディレクターとして雇った時、ハノーファーは安定した成功を招いたのだと思われた。実際、10−11シーズンにはブンデスリーガで4位となり、ヨーロッパリーグ(EL)出場権も手にした。11−12シーズンも欧州の舞台で戦ったが、13年にシュマトケはケルンへと移っていった。そこから、ハノーファーは下り坂に入った。そう、ティーテンベルクは信じている。


「ハノーファーは3シーズンも残留争いをしてきた。現在の状況は何年間ものツケというのが、私の意見だ」。そう語るのはサッカー専門サイト『GOAL』でハノーファーを担当していたクラース・フィリップだ。「選手の移籍に関して、クラブは判断を間違う傾向にある」。


 マーティン・キント会長による判断ミスも響いている。監督やスポーツディレクターの選択に関して、判断を誤ってきたのは会長だ。ELに出場していた頃から、その様子は垣間見えていた。「13年には(ミルコ・)スロムカを監督に選び、シュマトケと衝突した。その時点で、すでに2人はうまくいかなくなっていた」とフィリップは続ける。「そうした小さなミスが重なって、ゆっくりと、しかし確実に下降線を描いていった。続くタイフン・コルクトもミハエル・フロンチェクも、ぱっとしなかった。スポーツディレクターを務めていたディルク・ドゥフナーの手腕も、あまり際立ったものではなかった」。それが成績に直結していったわけだ。

うまくいかなかった冬の補強

 今、ハノーファーは、2部リーグへと落下していく感覚を味わっている。ウインターブレーク明けの逆襲を、一度は約束したはずだ。フロンチェクは監督の座を離れ、かつてブレーメンで成功を収めたトーマス・シャーフが1部残留というミッションを担うことになり、いくらかの楽観的な見方も出るようになっていた。


 だが、監督の力だけで勝ち点獲得が保証されるわけではない。「新戦力獲得に、クラブは1500万ユーロ(約18億6000万円)を使うことができた。でも、誰もハノーファーに来たがらなかったんだ」。HAZの記者、ティーテンベルクは悲しい言葉を口にする。


「ヨナス・ホフマン、ヨジプ・ドルミッチ、アレッサンドロ・シェプフ……。そう、さらにはナイジェル・デ・ヨングにジャーメイン・ジョーンズといった名前まで、ハノーファーの獲得リストには載っていた。でも、誰もハノーファーへの加入を望まなかったんだ」


 それでも、大きな補強となりそうな話はあった、ハノーファーは、ドイツ代表キャップも持つレバークーゼンのシュテファン・キースリンクと話を進めていたのだ。


「キースリンクはアパートも見つけていて、息子の転校手続きも済ませていたんだ」


 だが、レバークーゼンのスポーツディレクターが、この移籍話をひっくり返した。その代わりにやって来た選手たちがいる。ベテランFWウーゴ・アルメイダたちだ。


 冬の補強は、どうにも心もとない。マリウス・ボルフは、負傷明けで試合勘を欠いている。アイバー・フォッスムはまだ19歳で、将来的に期待されている選手だ。アダム・サライは自身への期待が自らに影を落とし、ブンデスリーガへ来て以降、2年間活躍できていない。アルメイダは暴力的プレーで出場停止を食らうありさま。そして、山口蛍である。

ダビド・ニーンハウス & フランソワ・デュシャト
ダビド・ニーンハウス & フランソワ・デュシャト
フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。