長与千種の新団体マーベラスが旗揚げ戦 “ドラマティックな女子プロレス”を展開

佐瀬順一

里村は彩羽に檄「お前もライバルだ」

正真正銘の長与の弟子となった彩羽匠 【佐瀬順一】

 そしてメインイベントでは彩羽匠が、自身のデビュー戦で対戦したセンダイガールズプロレスの里村明衣子と対戦。約3年前のデビュー戦のときは「長与に憧れてプロレスラーを目指した1新人」が「長与の後継者」相手にデビューという扱いだったが、マーベラスに入団してからは長与代表にマンツーマン指導を受けてきた彩羽。いまや彩羽も里村と同じ長与千種の弟子にして、赤を受け継いだ者である。

 しかし対する里村も現在まで女子プロレス界の横綱を守り抜いている。それだけに彩羽が鋭い蹴りやキレのあるスープレックスで投げていっても、里村は重たい蹴りを返し、鬼の形相でスリーパーホールドを決めていく。追い込まれた彩羽は長与さんから直伝されたというランニングスリー(助走付き変型サンダーファイヤーパワーボム)を狙うが、ダメージのせいで里村をなかなか持ち上がることができず、完璧には決められなかった。

里村はデスバレー3発で彩羽をしとめる 【佐瀬順一】

 すると里村は逆に彩羽を肩口まで一気に担ぎ上げ、必殺のデスバレーボムで叩き付ける。どうにかカウント2で返した彩羽だったが、ならばと里村はさらにデスバレー2連発で叩き付けて3カウント。

 試合後、里村は「オイ匠! 私はなデビューしてから長与千種の弟子ということは、一日たりとも忘れてない! 長与さん、今日からライバルですね。お前(彩羽)もライバルだ! お前にだけは絶対に手を抜かない! また私の前に来い!」と言い放つと、ガックリと項垂れる彩羽に「頭を下げるな!」と一喝した。

里村は彩羽に「お前もライバルだ」と宣言 【佐瀬順一】

 かつてアントニオ猪木の弟子だった藤波辰爾と長州力による一連の闘いは「名勝負数え唄」と言われたが、長与代表はこの一戦に「赤き道…赤壁の戦い〜第一章〜」というサブタイトルを付けた。長与千種の弟子である里村と彩羽のライバルストーリーは始まったばかり。赤壁の戦いは女子プロレス版・名勝負数え唄になるだろう。

新人選手、毎週興行などを発表

 大会のエンディングで「リング上で本気で、本気で…本気で悔しい思いをしないと絶対に伸びません! 本気で悔し泣きをしないといい選手にはなりません! 里村という壁、本当は怖かったと思います。しかしこれが現実です。泣いた分だけ必ず強くなってもらいましょう」と彩羽に激を飛ばした長与代表だが、「(彩羽は)負けてしまったが、今日の大義名分は里村に彩羽匠という人間を意識させていくこと。『お前もライバル』と言わせたところは良かったんじゃないかなと思います。勝ち負けっていうのは興行においてボーナストラックだと思っているので。それまでの過程がとても大事だと思っているので、デスバレー3連発、ランニングスリー0発。この差だと思います。でも時にうまくいかないほうが良かったりするので、今はこれでいい」と彩羽を評価した。

 長与代表が「(1300人の観客は)たぶんプロレスを見たことがある人、見たことがない人、半々だったと思うんです。その中で見た人たちは楽しめる、でも見たことがない人まで楽しませる方法っていうのを一生懸命考えた。どれが正解なんだろう。どれも正解なんだろうけどっていうところのチョイスだったんで。素人の人でも感情移入しやすい形を作ったつもりです」と語ったように、とくにメインの彩羽には全女時代の長与ファンを彷彿させる女性ファンからの声援も多く飛んだ。

 そしてマーベラスは5月3日付けで千葉県出身の18歳という田中未来(たなかみき)が入門したことや、所属選手を芸能プロダクションに所属させたこと、さらに秋頃からはスターライズタワー(旧・東京タワースタジオ)で毎週1回興行をやっていくことを発表。加えてシードリングの5月18日後楽園ホール大会で、ディアナのSareee&田中盟子と対戦する彩羽のタッグパートナーに、旗揚げ戦の第1試合でデビューした門倉凛を抜擢することも発表された。ここでも新しいドラマが始まりそうだ。

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