予想外の混戦となったリーガの優勝争い 三者三様のしびれる残り3節を読み解く

最も勢いに乗っているレアル・マドリー

追う立場にいるレアル・マドリーはバルセロナとアトレティコ・マドリーに比べて最も勢いに乗っていると言える 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 それは、史上11冠目を目指すCLでマンチェスター・シティと対戦するレアル・マドリーも同じだ。

 選手たちを混乱させぬよう戦術的な指示は必要最小限に抑えているジネディーヌ・ジダン監督のもと、自由にタレント性を発揮することを許されたチームは、ワンタッチで素早くボールを動かすスタイルが徐々に板についてきた。また、C・ロナウドの欠場に加え、カリム・ベンゼマも前半終了間際に負傷退場となった前節のラージョ戦では、ここにきて調子を上げているギャレス・ベイルが2ゴールを獲得。ルーカス・バスケスとヘセ・ロドリゲスも有用なバックアッパーであることを示し、0−2から3−2へとスコアを覆す逆転劇に貢献していた。

 追う立場にあるレアル・マドリーはバルセロナとアトレティコ・マドリーに比べて、最も勢いに乗っていると言える。だが、勝ち点1のビハインドに加えて直接対決の成績でもライバル2チームに劣っているため、逆転優勝が難しい状況に変わりはない。

 残る3試合のうち最も厳しいのは、バルセロナも苦しんだアノエタでのレアル・ソシエダ戦だろう。その翌週、サンティアゴ・ベルナベウに迎えるバレンシアはすでに今季の目標を失っているものの、パコ・アジェスタラン新監督の就任後に調子を上げ、カンプノウでバルセロナを破る金星も挙げている。デポルティーボは今季最も引き分けが多い難敵なだけに、最終節の対戦までに残留が決まっていなければ厄介だ。

 この段階でこのような状況分析をしていること自体が予想外のことながら、ありがたいことにフットボールはプレーするまで決して結果が確約されない競技である。残り3節、リーガファンにはしびれるような試合が用意されているはずだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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