“金本阪神の象徴”高山俊が語るプロ生活 「とにかく必死に１日を過ごしている」
ボールに食らいつこうと思った初打席
理想は描いてはいませんでしたが、大野（雄大）さんの強い真っすぐを「しっかり振ろう」とだけ考えていました。結果のことまでは考えが及ばなかったですね。あのような経緯（大野が初球はストレートを投げると宣言）もありましたので、１球目を強く振ることだけを意識していました。
──真っすぐが来ることがわかっているだけにしっかり振ろうと考えると、余計に力んでしまうのでは、と思ってしまいますが……。
あのとき、緊張はしていなかったのですが、振る瞬間はすごく力んでいました。そして振ってから「今の球はボールだったな」と思いました。ただ、その後は、落ち着けたのか、というとそこまでではなく、ただ必死でしたね。
──その必死の中、２ボール２ストライクから外角低めの真っすぐをとらえて、うまくレフト前に運びました。
あのコースの打ち方としては理想でした。追い込まれていたので何とかボールに食らいつこうと思っていたので、結果的に良かったです。
緊張はしなかった開幕戦
オープン戦に出場させてもらっていましたので、プロとはこういう感じかな、という雰囲気をつかんだ中での開幕戦でした。少しは慣れたと思っていましたが、開幕戦はやはりまったく雰囲気が違うモノでした。
──これまでアマチュア時代に数々の大舞台を経験されましたが、そのときの雰囲気とは違ったのでしょうか。
違いましたね。僕自身はいつもと変わらない流れでその日１日を過ごそうとしたのですが、周囲に「開幕だ！」というような雰囲気が漂っていて、チームメートやスタッフさんたちの様子が違いました。
──そわそわする感じですか。
そわそわというよりも、開幕戦に対する意識の高さがすごかったです。僕もその域に早く行かないといけないな、と思いました。開幕戦当日は、そこまで感じていなかったんですが、今終わって通常の試合をしている中で振り返るとそうだったなあ、と。何しろプロ野球の開幕戦が僕自身初めてのことだったので（笑）。ただ、キャンプやオープン戦でも、チームメートの要所、要所でのオンとオフのスイッチの切り替えがすごいなとは、感じていました。それ以上に開幕戦に対しての気持ちのスイッチの入り方がすごかったです。
──そういうスイッチのオン、オフを見て、焦るということはないのでしょうか。
というよりは、それを見ていながらも、自分の中では実感がわかなかったという言い方が本音で……それはそれで１年目の強みかな、と思いながら、いつもどおりの準備をしました。
──一塁線上に先発メンバーが呼ばれるときなども、そこまで緊張していなかったのですね。
はい。そこまで緊張はしていませんでした。それよりも最初の打席のことばかり考えていました。歓声などを聞いても、そこまで自分の中で「すごいなあ」ということもなかったですね。