再起をかける10番の「ファンタジフタ」 G大阪U-23の背番号にまつわるストーリー
厳しい立場に置かれている現状
相手の急所を突くようなパスが持ち味の二川。時に味方さえも欺く創造性を持っている 【写真:アフロスポーツ】
コアなガンバ大阪サポーターは、「フタ」の愛称で知られる二川孝広のことを「ファンタジフタ」と呼ぶ。身長168センチ、体重63キロの小柄な体格ではあるが、俯瞰的な視野から繰り出されるスルーパスは唯一無二の精度を持つ。
攻撃の全権を握る遠藤保仁が、チェスさながらに2手、3手を先読みした理詰めのパスで攻撃を組み立てるのとは対照的に、ピンポイントで相手の急所を突く感性のパスが二川の持ち味。時に味方さえも欺く創造性を持つ彼は、サッカー界で絶滅危惧種になりつつあるファンタジスタなのだ。
攻撃陣に豪華補強を施した今季のG大阪の中盤は、昨年に日本代表デビューを果たした倉田秋でさえ定位置を約束されていない激戦区。現状の二川はポジション争いに割って入ることができない厳しい立場に置かれている。
今季はU−23がJ3リーグに新規参入することもあり、総勢37人の大所帯となったG大阪。トップチームとU−23組が初めて分かれて練習を行った1月10日、二川はルーキーら7人とともに、静かにボールを蹴っていた。
1月の始動直後、長谷川健太監督から伝えられた言葉は「J3の方で若手を引っ張っていくぐらいの気持ちでやって欲しい」ということ。
イビチャ・オシム体制下の日本代表でもプレーし、2003年以降、G大阪で背番号10を背負い続けてきた天才パサーだが、昨年のJ1リーグでの出場数はわずか2試合。99年にG大阪ユースからトップへ昇格して以来、最も出番から遠ざかったシーズンだった。
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