よもやのドローで窮地に立つなでしこ 「他力」ゆえに厳しい予選突破の条件
2試合で取り逃した勝ち点5の重み
日本を抑える組織的なディフェンスが光った韓国 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
また、オーストラリアや韓国が、ずっと過去の姿のまま、あまり強くなっていないと思っていたのだとしたら、それも間違いだ。オーストラリアは日本を相手にしてもパスをつなぐサッカーができるし、韓国も日本を抑える組織的なディフェンスができる。
両国に限らず、世界的に女子サッカーが急速にレベルアップしていくことは、4年前のロンドン五輪を終えた時点で想像できたはずで、その進歩の方向性もつかめたはずだ。すなわち女子サッカーは、2011年から12年を転機として「身体能力の高い選手による個人対個人(1対1)のバトルの連続」ではなく、「動作スキルの高い選手による組織対組織の戦い」になった。そしてその傾向は、15年のワールドカップで一層明らかになった。
なでしこジャパンは、これまでに何度かあった節目のタイミングで、新しい時代の女子サッカーに適応し得る選手の基準とベーシックな戦術とを再定義し、テストや経験を重ねておくべきだった。よくよく考えると、ロンドン五輪後に1つ目のボタンを掛け違えて以降、なでしこジャパンはまだ出遅れを取り戻せていない。
他力となったなでしこ。予選突破の条件は?
仮になでしこジャパンが3連勝した場合も、下記の条件を満たしたチームは最終的に日本の順位を上回る。
(1)オーストラリアがあと2勝する(勝ち点12)
(2)韓国が3連勝する(勝ち点11)
(3)中国が日本戦以外2戦2勝(勝ち点10)とし、かつ得失点差で日本を上回る
韓国と中国は3月7日の第4戦で直接対決を控えているので、上記(2)と(3)が両立することはない。したがって(1)と(2)、または(1)と(3)が同時に達成された場合、日本の3連勝は無意味となる。
次の試合は3月4日に行われる。なでしこジャパンが中国とキンチョウスタジアムで対戦する同時刻、隣のヤンマースタジアム長居では韓国対オーストラリアの試合がある。もしここで韓国が勝つようなら、なでしこジャパンはいよいよ予選敗退を覚悟しなければならない。
一方で、なでしこジャパンが中国に勝ち、韓国がオーストラリアに敗れると、今度は韓国・中国が一気に追い込まれ、なでしこジャパンに浮上の兆しが見えてくる。無論、すべては「日本が3連勝する」という前提の上での話ではあるのだが。