イ・デホはゼロからの挑戦を選択 韓国代表クリーンアップ、三者三様の評価

室井昌也

マリナーズとマイナー契約を結んでイ・デホ、キャンプで結果を残してメジャー昇格なるか? 【写真は共同】

 昨年11月に行われた『世界野球WBSCプレミア12』。この大会で日本代表・侍ジャパンは、準決勝韓国戦の9回表、3点のリードをひっくり返され決勝進出を逃した。一方、日本に勝利した韓国は決勝戦で米国を下し、大会初代王者に輝いている。

 その韓国優勝の立役者でクリーンアップに座った3人の打者が今年、そろって活躍の場を米国に移す。準決勝で決勝打を放ったイ・デホ(33歳、前福岡ソフトバンク)、シーズン50発男のパク・ピョンホ(29歳、前ネクセン)、そしてプレミア12大会MVPのキム・ヒョンス(28歳、前トゥサン)の3人だ。彼らはどのような評価を受け、太平洋を渡るのか。

イ・デホはマ軍とマイナー契約

 3人の中でイ・デホは2012年から海外に進出。オリックス1年目に打点王のタイトルを獲得した。そして昨年はソフトバンクの主軸として日本シリーズでMVPになるなど、既に日本で成功を収めている。

 しかし昨オフに4年1200万ドル(約13億5600円)でツインズに迎え入れられたパク・ピョンホ、2年700万ドル(約7億9100万円)でオリオールズと契約したキム・ヒョンスに対し、イ・デホがマリナーズと交わしたのはマイナー契約だった。年俸は出来高を含めて最大で400万ドル(約4億5200万円)と伝えられ、昨季のソフトバンクでの推定年俸5億円から下がる評価となっている。

 イ・デホが厳しい契約内容となった理由について、米国での特派員経験があり、韓国きってのメジャー通で知られるミン・フンギ解説委員はこう話す。

「イ・デホには当初3つの球団が関心を持っていると伝えられていましたが、その評価は年齢や体形などマイナス面がクローズアップされていました。今年34歳ということで“2、3年前ならともかく、ピークは過ぎた”という判断に至ったようです」

 しかし、この3人の中で「技術レベルが最も高いのはイ・デホ」と話すのは、プレミア12日本代表で投手コーチを務め、韓国打線と対峙(たいじ)した野球評論家の鹿取義隆氏だ。

「イ・デホは懐が深くて軸がぶれません。ボールを呼び込むことができて、体の回転を使ってインコースもさばけます。他のバッターに比べて隙がありません」

 実績と高い技術はあるもメジャー契約を得られなかったイ・デホ。イ・デホは就労ビザが発給され次第、渡米してマリナーズのキャンプに招待選手として参加し、メジャー枠入りを争うことになる。

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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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