外国人騎手の席巻と海外競馬の馬券発売 新たな国際交流を生き抜くために
騎手免許のルール、抜本的な見直しが必要
昨年GI4勝のミルコ・デムーロ(写真)とJRA年間112勝のルメール、今年も2人が競馬界を席巻する? 【スポーツナビ】
その制度を利用して、年明けからフランシス・ベリー、デクラン・マクドノー、シェーン・フォーリー、ルイス・コントレラス、ファブリス・ヴェロンの5人が来日して騎乗中です。これに“JRA所属”のデムーロ、ルメールが加わると、場合によってひとつのレースに7人の外国人騎手が騎乗する、という事態が起こります。
近年、若手騎手に限らず、中堅レベルの騎手たちの置かれた環境の厳しさが問題になっていますが、これはJRAによる国際化や地方交流を目的とした施策の中での、外国人騎手や地方競馬の騎手への門戸開放が少なからず影響していると言えます。
そこへもってきて、上記のような外国人騎手7人(今後更に増えるかも)という事態が常態化すると、ますます日本の騎手は厳しい環境を強いられることになりかねません。
その対応策のひとつとして、負担重量面で優遇される“若手騎手”の期間延長が打ち出されました。悪くない策だと思われます。
ルール面の対策としては、他にも考えられることは少なくなさそうで、それこそ短期免許を交付する外国人騎手の数を抑えるべき、といった意見も耳にするくらい。
ただ、これに関しては、はたして単純な保護政策で、どのくらいの効果があるのか。その疑問は残ります。
優勝劣敗の世界なのに、などと言うつもりはありません。大きな夢を抱いて騎手になりながら、早い段階に挫折せざるを得ない騎手が続出する状況は確かに切ないですが、現役時の競争原理を過剰に保護することで、本当に解決に向かうでしょうか。もっと抜本的な見直しが必要な段階にきていませんか。
人材育成のために
簡単なことではありませんが、ひとえに、“ホースマンの育成方法の再考”に尽きるのではないか、などと漠然とではありますが、そのように考えています。
これは競馬学校の方針を見直す、といったような話だけではなく、“馬のいる社会”といった、視野の広い文化的側面についての議論を通した人材育成のあり方。そして、その方法論について関係者すべてが真剣に向き合うことこそ重要である、という考え方。
それがひいては、人と馬とのつながり方の理解を深め、成熟したホースマンの誕生につながっていくのではないか、といったようなこと……。
一朝一夕にできることではないのは承知のうえで、だからこそ思うのです。外国から来日しているホースマンとの交流は、大きな財産になる、と。
日本古来からの競馬文化と、西洋の競馬文化の違い、あるいは共通点等を深く理解すること。それが双方にとってプラスに働かないはずはないんじゃないでしょうか?
無論、日本の国内だけで、日本の競馬さえわかっていればいい、と突き放されては元も子もありません。が、海外競馬が身近になる中で、行き過ぎたように感じられる国際交流を排斥するのではなく、やはり前向きに捉えていい方向に向かえるように対処する。
それが、益々国際化が進む時代に生きる我々に、実は最も求められているスキルなのかもしれません。