外国人騎手の席巻と海外競馬の馬券発売 新たな国際交流を生き抜くために

スタートする海外馬券発売

二冠馬ドゥラメンテが凱旋門賞に出走すれば、日本でもその馬券が買えるとあって例年以上の盛り上がりとなりそうだ 【写真:中原義史】

 年が替わって2016年。様々なシーンで新たな潮流を予感させる年頭ですが、競馬の世界も例外ではありません。

 主役である競走馬たちの活躍は例年通り、を期待するとして、競馬界として今年最大のトピックとなるのは、秋に予定されている“海外競馬の馬券発売”でしょう。

 1981年に第1回ジャパンCがスタート。そこからの35年間に急速な国際化が進み、いまや日本馬がフランスの凱旋門賞やドバイワールドC、香港での国際競走等、海外で大活躍する時代になったことは周知の通りです。

 そして、海外競馬が身近になるに従って、「その海外の馬券を購入したい」との要望が高まっていったのは、必然的な流れだったのでしょう。

 それらを受けて、ついに昨年の4月、改正競馬法が衆議院本会議で可決、成立し、農林水産省が指定するレースに限って、JRA、地方競馬主催者が、現地の主催者に代わって馬券を発売することが可能になりました。

 発売されるレースが限られていること、さらにインターネットでの発売が中心となることなどについて、各方面から批判も出ているようですが、まったくのゼロから大きな一歩を踏み出したことは事実。ファンにとって、まずは朗報と捉えるべきでしょう。

 むしろ発売レースや発売方法よりも注意、というか、しっかりと認識しておかなくてはならないのは、オッズや配当のルールについてはあくまで“国内完結型”だということ。

 例えば凱旋門賞にオルフェーヴルやゴールドシップといった人気馬が挑戦した際、多くのファンが「勝負になる」と考えて購入すると、日本での配当は、現地のそれよりも恐らく低くなってしまうでしょう。応援馬券などが入れば尚のことです。

 最初のうちは、それでも日本馬が勝つシーンに関われた、と思えるだけ納得できるかもしれませんが、それこそ日常的に日本馬が勝つような時代がくると、無いものねだりは人の常ですから、今度は「配当が低すぎる」なんて不満が出てきたりするかもしれません。さてそうなった時に、「馬鹿馬鹿しくて買っていられない」と考えるファンが出てくるのかどうか。そうして「やっぱり現地に行かなきゃ」と思い始めるのかどうか。

 そんなことも含めて、今後の海外競馬との向き合い方を考えるキッカケになることは間違いありません。

 やっぱり、とりあえずは朗報として、前向きに受け入れるべきだと考えます。勿論、発売レースの拡大や、その他様々なルール面の整備、見直し等、課題は課題として、しっかり把握しておく必要はありますが。

“新人”2人が席巻、最大トピックの凄まじさ

 海外競馬の馬券が買えるようになると、益々日本の馬が海外に遠征する機会も増えることでしょう。それはそれで国際化が加速することに違いありませんが、すでに昨年、国際化が進んだことの、シンボリックなトピックがありました。

 外国人の騎手が、JRAのジョッキーとして誕生したことです。お馴染みのミルコ・デムーロ(イタリア)と、クリストフ・ルメール(フランス)の両騎手です。

 JRA内での外国人騎手誕生のインパクトについては、昨年のコラムでも書いたので詳細はそちらを参照いただくとして、上記2人の昨年の成績は、当初予想された以上の凄まじいものでした。

 デムーロが118勝、ルメールは112勝で、それぞれ全国リーディング3、4位。それもデムーロが3月デビュー。ルメールにいたっては規則違反で騎乗停止処分を受け、実質1カ月近く遅れてのデビューだったのですから、これが年初からの騎乗だったらどうなっていたのか。

 ともかく、2人の“新人”が競馬界を席巻したことは事実です。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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