秋山準は全日本プロレスを守ることができるか!?

高木裕美

主力選手退団の激震に見舞われた2015年

新年のあいさつで11.27両国大会を発表した秋山準社長。大きな危機を迎えた全日本プロレスを守ることができるのか 【横田修平】

 1972年に旗揚げされ、40年以上の歴史を誇る老舗団体である全日本プロレスだが、2015年は現役チャンピオンら主力選手の退団が相次ぎ、経営危機がささやかれるなど、激震に見舞われた1年となった。だが、「雨降って地固まる」がごとく、逆に残された選手たちが奮起。若手選手たちが遠慮なく自己主張し、また、大日本プロレスやDDTプロレスリングなど、他団体とも積極的に交流することで、団体のモットーである「明るく、楽しく、激しいプロレス」をファンに提供し続け、会場の熱を高めてきた。

 今年は11.27東京・両国国技館大会の開催も決定。現役王者の退団で空位となっていたベルトも、日本最古の歴史を誇るアジアタッグ王座はインディーマットを席巻するヤンキー二丁拳銃(木高イサミ&宮本裕向)が、世界タッグ王座はパワーファイトを信条とするザ・ビッグガンズ(ゼウス&ザ・ボディガー)が獲得。団体の象徴である三冠ヘビー級王座は、前日の後楽園大会で秋山準を破った諏訪魔が戴冠した。
 すでに2.12後楽園では諏訪魔vs.宮原健斗の三冠戦が正式決定。また、2.13千葉・銚子での諏訪魔&野村直矢組vs.宮原&ジェイク・リー組による次期挑戦者決定戦の勝者チームが、2.21大阪で世界タッグ王座に挑戦することが決定。空位のままの世界ジュニア王座も、2月開催の「Jr. BATTLE OF GROLY」優勝者が新王者となることが発表された。

ボロボロになっても若手たちを鍛え上げる覚悟

ボロボロになってでも自ら先陣に立って若手たちを鍛え上げる覚悟 【前島康人】

「全日本プロレスという団体を守りたい」という気持ちをもっとも強く持つのが、かつて全日本でデビューし、現在、トップファイターとしてだけではなく、代表取締役社長としても団体を支える秋山準だ。
 前日に諏訪魔に敗れ、三冠ヘビー級王座から陥落した秋山は、この日はNEXTREMEのジェイク・リーと一騎打ち。前日の激闘のダメージをほとんど見せることなく、ジェイクを場外で四方の鉄柵に振ると、パイルドライバーを炸裂。ジェイクもローキック連打、ブレーンバスター、フロントネックロックで意地を見せるが、秋山はランニングニー、エクスプロイダー、ニーパットをはずした生のヒザでのランニングキックで完勝した。

 かつて専修大学レスリング部から鳴り物入りで全日本に入団し、デビュー直後からトップレスラーたちにもまれてきた経験のある秋山は「オレのやってきたもの、先輩からやってきてもらったものを下につなげる。できる限りはオレがやる。だけど無理にやらせようとしない。あいつらが自分でしっかり考えて練習して、自分の足で立って、自分が考えて力でオレに技をかけてきた時は、それはもう受けざるを得ない。やられるだろう、オレも。でも今はオレは簡単にはやられない」と、自らが先陣に立って若手たちを鍛え上げ、ボロボロになっても受けて立ち続ける覚悟を吐露。
 前日に発表された11.27両国国技館大会についても「近場のゴールをとりあえず見せてあげたかった。これはもうオレひとりの力じゃなく、選手ひとりひとり、やっぱり一丸となっていかないと成功できないと思う」と、選手個々の成長と団体としてのチームワークの両方に期待を寄せた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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