スケートリンクを運営する難しさとは 日本フィギュアを陰で支える人々の願い
スケートリンクを取り巻く状況
しかし、多くの有力選手を擁するまでになった日本にも冬の時代があった。特に1990年代は全国にあるスケートリンクが相次いで閉鎖。行き場を失った選手たちの中には競技を続けることが困難になった者もいたと聞く。理由は建物の老朽化や財政難などさまざまだが、いずれにせよ現在よりも難しい環境であったのは間違いない。
大阪府立臨海スポーツセンターが閉鎖の危機に陥ったときは、高橋(左)らが存続活動に立ち上がった 【写真は共同】
2014年7月1日時点で日本スケート連盟が把握しているリンク数は、全国で136に上る。果たしてその実情はどのようになっているのか。今年12月下旬にリニューアルオープンを控える神奈川スケートリンクを例に、リンクを運営する難しさについて迫ってみたい。
収益は自主財源でまかなう
1951年にオープンした神奈川スケートリンクは、施設の老朽化が著しく、現在リニューアル工事中だ 【写真提供:神奈川スケートリンク】
神奈川スケートリンクを運営するのは公益財団法人横浜市体育協会。収益は自主財源によりまかなっている。行政からの補助金もなく、独立会計で成り立っている。
神奈川スケートリンクは現在、高校跡地にある体育館に氷を張って、仮設のリンクとして営業している 【スポーツナビ】
「主な収益についてはやはり一般営業におけるお客様の利用料、それからスケート教室事業がほとんどを占めます。また当然収入があれば支出もあります。まずは施設をメンテナンスするための維持費。施設の中で言うとそれこそ氷を維持するための電気代であったり、水道代ですね。またもちろんスタッフもおりますので、人件費もかかる。こういったものが支出となります」
南部によると新施設の維持費は年間で億単位になるという。こうした支出をまかなうためには月に延べ2万人以上の利用者が必要で、運営側には努力が求められている。