オカダ・カズチカが語る“これから” 天龍戦と東京ドームに向けて思うこと
外道さんと2人で“レインメーカー”
「外道さんと2人で“レインメーカー”」と語るオカダ 【横田修平】
もちろんリスペクトはあります。ただ、なぜこんなのでこんなに沸くのかなというのもあります。こんな技で沸くんだったら楽だろうなと。
――技に関しては、昔の大技がつなぎになっているという部分もありますね。
でもそこは逆に、過去だからこそ、逆に新しいと思うところもありますよ。それこそ、パワーボムだって、今はつなぎですけど、しっかり練習すればフィニッシュになりますし。
――個人的な印象ですが、昔と今のプロレスを比較すると、昔は一発一発の技に気持ちを込めているという印象はあります。それに対し、現代のプロレスは技を“魅せる”という部分はあるのかなと感じます。
でもまあ、気持ちを込めればいいわけではないですよね。別にグーパンチより、ボマイェの方が効きますから。チョップだろうがなんだろうが、やっぱり何も変わっていないですよ。結局は。
――あとこれは強さとは違う部分かもしれませんが、コメント力みたいなところも違いはあるのかなと思います。実際、棚橋選手の著作の中で、オカダ選手に足りないのは、そういう部分という話もしていましたが?
そうなんですか? (コメント力が)あってもいいですけど、でも別に、今でも別に名言というわけじゃなく、棚橋さんだって「愛してまーす」と、ただの決め台詞じゃないですか? 別にプロレスの名言といっても、出てこないですよ。
――コメント力よりも、試合内容だと?
まあ、僕の場合は外道さんもいますし。僕は外道さんと2人で“レインメーカー”だと思っていますから。僕がしゃべったら、逆に“レインメーカー”としての楽しみが減るわけじゃないですか? 僕が勝って、外道さんがマイクで話す。それが、オカダ・カズチカであり、“レインメーカー”なんです。もちろん、1人でやると言えば1人で行けますけど、僕は嫌なんです。意地ではなく、そこはやっぱり外道さんの「レェヴェルが違うんだよ!」とか聞きたいじゃないですか? それを望んでいる人がいるんですよ、外道さんのマイクには。
天龍さんには「感謝してもらいたい」
最初はG1の途中に言われたんですよ。G1中はちょっとやめてくれと。ただ予選で敗退してしまったので。
――両国に天龍選手が乗り込んできて、試合が決まったと?
そうですね。こっちは試合前でしたけど(笑)。
――あまりいい表現ではないですが、「ありがた迷惑」だった?
「ありがた迷惑」ではないです。「迷惑」です。特に試合になると思っていないですから。それこそ65歳のプロ野球選手が、どれだけ無理しても、現役の選手の球を打てるわけがないじゃないですか? それと一緒ですよ。
――それでも天龍選手の全盛期は、新日本と全日本という2大団体があり、そこの垣根を越えてきて戦っていたという実績もあります。現在のプロレス界は新日本プロレスの1強に近い部分があると思いますが、そのような他団体としのぎを削るという部分ではどう思いますか?
正直、僕は別に外には興味がないです。お客さんがたくさん入っているところにいるのに、わざわざ入っていないところに行く必要もないんじゃないですか? それだったらこっちに来ればいいよと。誰でも新日本に来いよと。
ただ、そういう意味では、新日本で今までに戦っていない相手ですから、楽しみではありますよね。最初で最後ですけれど、そういう相手と戦えるのは楽しみです。
――いつも対戦していない選手と試合をするのは、オカダ選手にとってどんな意味がありますか? やはり刺激になりますか?
なりますね。楽しみです。今回は本当に楽しみですよ。試合になるかどうかは別として、完ぺきアウェーだし。そういうところでやるのは楽しみで、初めて触れる天龍さんというのも楽しみです。でも、一方的になると思います。
――試合の中で、天龍選手に伝えたいことは?
伝えたいことは特にないです。伝えたいというより、天龍さんには感謝してもらいたいです。「猪木、馬場から3カウントを取り、引退試合でオカダに3カウント取られた選手」と言われるわけですから。オカダに3カウントを取られたという歴史を作れるわけですからね。そこに感謝してほしいです。
ドームで勝利し、素晴らしい16年に
東京ドームでは「勝ちたい」と願うオカダ。16年最初の試合で、金の雨を降らせることができるか!? 【横田修平】
そうですね。やっぱりドームですね。1回も良い思い出がないですから。レインメーカーで帰ってきて、1度はブーイング、2回は負けて、1つは勝ったにしても、セミに落とされていますし。周りからしたらたったの4回なんですけど、僕からしたら、この4年間が長くて、毎年毎年、今年こそはと思っていてもだめで。次こそ本当に気持ちよく終わりたいですね。
――ここで勝つことでずいぶん気持ちが変わる?
そうですね。それが15年の終わりでもあり、16年の始まりでもありますから。
――IWGPヘビーのベルトに関して言うと、前回は8度の防衛、ほぼ1年間ベルトを保持し、AJスタイルズに奪われています。今回はやはり棚橋さんが持つ11回の防衛記録は狙いたい?
別に防衛回数は考えていないです。ただ海外で防衛戦をしたいですね。15年はいろいろなところに行かせていただき、米国、カナダ、シンガポール、英国、台湾と行きました。8月の米国と10月の英国はベルトを持って行けましたが、ほかは持っていけなかったので。次はチャンピオンとしてタイトルマッチをやりたいですね。
――海外だとベルトを持っているだけで反応が変わる?
やっぱりベルトというのは、知らない人からしても、チャンピオンだと分かってくれるので。こないだの英国でも、「誰だ、お前?」と最初は思われましたが、そこはチャンピオンであるだけで変わりますし、試合でも分かってもらえたというのもあります。まあ海外で「オカダ」コールが起こるのも違和感がありますけどね(笑)。なんでこんなに外国人に知られているのかと。
――海外でもプロレス熱はあるということですね。
そういう意味で、海外で盛り上げたいというのもありますね。
――現状、新日本は国内のトップですが、今後は世界に広げていきたい?
いや、世界はまだついでです。やっぱり日本ですよね。昔のブームに比べたら、日本もまだまだですから。「プロレス女子」が増えても、昔に比べたらそこまですごいわけでもないです。
――それでは最後になりますが、今後に向けての意気込みをお願いします。
とりあえず東京ドームですね。勝って、2016年も素晴らしい年にしたいです。プロレス界を盛り上げ、それこそチケット発売と同時にすべて売り切れるようにしたいです。いろいろ夢はありますので、そこに向けて頑張っていきたいです。
(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)