「みんなオクタゴンに人生を懸けている」=高阪剛が語るUFC日本大会の見どころ

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堀口の海外修行は応援したい

4月のタイトルマッチに敗れて以来の復帰戦となる堀口恭司。今大会後の海外修行を公言しているが、高阪氏も「気持ちはよくわかる」と応援する 【(c)NAOKI FUKUDA】

――日本人だと、4月にフライ級王座にも挑戦した堀口恭司選手の試合が注目だと思いますけど。タイトル戦で敗れたあとの再起戦ですから、当然、大事な試合になりますよね?

 そうですね。ただ、それに気負うことなく、タイトル戦で得たものというのはすごく大きいと思うので、また一回り成長した姿を、日本のファンに見せてほしいですよね。

――そのさらなる成長という意味では、堀口選手は先日、「この試合が終わったらフロリダに移住して、ATT(アメリカン・トップ・チーム)に行きたい」ということを言ってたんですよ。

 その気持ちが、自分はすごくよくわかりますね。向こうに行って得られるものって、練習環境や練習内容だけじゃないんですよね。単に練習相手としてだけを考えたら、日本の選手というのは、すごく献身的に試合に向けた練習に付き合ってくれたりするんですけど。それを超えた発見が、すごくたくさんあるんです。なんとも言えない、海外の選手ならではの発想ってあるんですよ。それは向こうに住んで、そういう連中と常に練習したり、練習の合間にダラッとしてる姿を観たり、会話したり。常に触れてないと理解ができないんですよね。平たくいうと、向こうの連中は発想がものすごく自由なんで、アンソニー・ペティスみたいに金網を蹴って、その反動でハイキックを入れるとか、そういう技が生まれるんですよ。

――それが日本の選手は生真面目ですから。普通あんなことやってたら、「遊んでるんじゃない!」って言われますよね。

 だから、そういうなんとも言えない、ちょっと感覚的にズレがあるんです。そして試合になると、その感覚のズレっていうのは、ものすごく恐ろしいことになるので。ガードがちょっと遅れたり、相手がわけのわからない動きをしてきて、対応が遅れたりする。それは奇をてらってるわけじゃなくて、向こうからしたら普通なんですよね。そういうことを皮膚感覚で理解するためには、向こうに住むしかないんですよね。

――「総合格闘技はこうじゃなきゃいけない」という、固定観念がいい意味でない選手ですもんね。

 そうですね。だから、もし長期の海外修行に出るのなら、それは本人のファイターとしての成長だけじゃなく、人間としての成長も後押しするんじゃないかと思います。自分はそれを応援したいですし、今度の日本大会は、そのステップにしてほしいですね。

日本人全員に頑張ってもらいたい

――高阪さんの弟子である、菊野克紀選手の仕上がりはどうですか?

 試合まで、(この取材の時点で)あと10日ぐらいですけど、先週の中盤から今週にかけて、急激によくなってますね。いろいろとつかめるものが本人の中にあって、試合に向かっていく練習って、それを集約していく作業なんですよね。使えるものと、まだ使いにくいものを取捨選択していくんですけど、それが先週から今週にかけてまとまってきた感触は、本人も得ているので。今は、仕上がりかけている状態ですね。

――仕上がり具合は、いつもと比べていかがですか?

 仕上がりは、いつもと同じようにできていますけど、やはりオクタゴンで4試合やってきて、得られた情報というのは、心構えも含めてたくさんあるんですよ。そういったものを集約できてきているので、その部分では、これまで以上のものが出来上がってきていると思いますね。

――メンタル的にはどうですか。試合前のコメントを聞く限り、前回負けていることもあって、かなり自分を追い込んでるなという感じがしたんですが。

 そういうメンタルも含めて、試合前というのは、まとめていく作業が必要なんですよ。そのメンタルのコントロールも含めて、克紀は試合までにまとめていく才能を持っているので、あとは、そこをもう少し整えて、オクタゴンに送り出す感じですね。

――日本人選手にとって、日本大会に出るというのは、普段とやはり違うものですか?

 基本的には、変わらないと思うんですよ。試合前の公開練習から記者会見、公開計量、そして試合当日の細かいことまで、ルーティンの部分ではUFCのスタッフがすべてを取り仕切るので。そこは海外でやっているときと変わらないんです。ただ、実際にオクタゴンに入って試合をするときに、ふと思うはずなんですよね。ここは日本なんだと。周りを観ると日本人のお客さんだし、家族や仲間たちもいて。それを力に変えられるかどうかは、本人次第ですね。

――なんとか日本人選手には、ここでインパクトを残してほしいですね。

 そうですね。もう日本人選手全員に頑張ってもらいたいですよ。試合で勝つ、魅せることもそうですけど、いろんなことを巻き起こしてほしいですね。

――当たり前の話ですけど、あそこに出てる選手は全員、格闘家人生を懸けて試合にのぞんでいる人ばかりですもんね。

 そうなんですよ。日本大会だと、日本人選手が出る試合が多いから、ちょっとそこが薄く見えるかもしれないんですけど、ホントにひとつひとつ切り取ると、みんな人生懸けてるんですよ。

――ここで勝つと負けるのとでは、これからの人生がまったく変わってくるという。

 それは克紀にかぎらず、みんなそうなんで。もちろん、みんなプロの選手ですから、お金を払って観に来てくれた人たちに還元することが必要なんですけど。観る側としての根底のところに、みんな人生懸けてオクタゴンに上がってるんだということを理解して見てもらえたら、ありがたいですね。

――そう見たら、まったく試合が違って見えますもんね。「ROAD TO UFC:JAPAN」に出ていた廣田瑞人選手と石原夜叉坊選手は、どんな思いを背負ってこの試合に臨むのか、みんな分かった上で感情移入して観ると思いますけど。それ以外の選手も、みんなそれぞれの覚悟を持って出てきてるわけですから。それを想像して観ると、より試合が面白くなりますよね。

 そうあってくれたら、うれしいですね。みんな「試合で楽しませたい」と言いますけど、それはプロの言葉として「楽しませたい」と言ってるだけで、格闘家としてみんな真摯に取り組んで、試合に懸けてきていますから。そういう選手の姿をしっかりと観てもらえたらって思います。

(取材・文:堀江ガンツ/WOWOW UFC解説者)

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ゲスト:福山雅治、玉袋筋太郎(浅草キッド)
解説 :宇野薫、?高阪剛、川尻達也、稲垣收、堀江ガンツ
実況 :高柳謙一、西達彦
進行 :石垣佑磨、荻野仁美

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