エディージャパン、歴史的勝利の理由 元日本代表・藤井淳が解説

構成:スポーツナビ

途中出場のSH日和佐は陰のMVP

試合後、ファンの大歓声に応える日本代表 【Photo by Yuka SHIGA】

――もっとも良かった選手は?

 途中出場のNo.8マフィだと思います。入って最初のプレーで南アフリカの選手を吹き飛ばしたインパクトは大きかったです。南アフリカにとっては予想以上の当たりの強さだったと思いますし、日本にとっては「よし、まだいける」と思わせたはずです。ああいう強いプレーは味方の気持ちも乗ってきますし、最後のトライにつながる動きとパスも良かったです。

 主将のリーチ マイケルはエディーと同じぐらい勝ちにいく気持ちが強い男です。彼にとってもラグビー人生最高の試合になったのではないでしょうか。世界中が南アフリカに負けると思っていた中で、チームをよくまとめたと思います。プレーでも誰よりも体を張っていて、際立っていましたね。

――藤井選手と同じSHの田中史朗、日和佐篤は?

 田中が序盤に落ち着いてゲームをつくったのは大きかったと思います。大舞台で堂々とプレーできる彼の良さが出ました。
 途中出場の日和佐はテンポの早さが持ち味ですが、今日は良い意味で落ち着いて連続攻撃をさばいていました。終盤に追いかける展開だと焦るものですが、アタックの人数がいて、ディフェンスの弱いところを選んで攻撃できていたので、彼は陰のMVPと言っても良いと思います。

ワンランク上に行くために次戦が重要

24得点を奪って勝利に大きく貢献したFB五郎丸 【Photo by Yuka SHIGA】

――次は中3日でスコットランド戦があります。

 おそらく、今日の試合がベストだったと思います。これだけ良いゲームをすると、その後が本当に難しくなります。
 ただ、ここでワンランク上のステージに行くためには、これからの3試合が重要ですから、良いマインドで臨んでくれることを期待しています。エディーも、この難しさは理解して、対策を考えていると思います。

――最後にあらためて、すごい試合でした。

 本当に心からエディージャパンのみんなを尊敬します。本当にうれしいです。あの会場の雰囲気を見ていると、「自分もこのグラウンドに立ちたかったな」という思いもあります。
 ただ、何よりもあの厳しい4年間の練習に耐え抜いたのが彼らなので、まずはあの練習をやり切って、試合でも実力を出し切った彼らは本当に素晴らしいと思います。僕が代表だった期間は短いですけど、本当にきつかったので……。今日は興奮して、眠れそうにありませんね(笑)

(取材・文:安実剛士/スポーツナビ)

[プロフィール]藤井淳/JunFujii

東芝ブレイブルーパスで活躍する藤井淳。12年にはエディー・ジョーンズHCにより日本代表に選ばれ、6キャップを獲得した 【写真:アフロスポーツ】

 1982年8月10日生まれ。身長170センチ、体重77キロ。愛知県出身。西陵商高‐明治大‐東芝ブレイブルーパス。

 西陵商高時代に全国大会に出場、明治大では抜群のスピードを生かして活躍した。東芝ブレイブルーパスでは強気のリードでFWをまとめ、ディフェンス面も向上。2012年にはエディー・ジョーンズHCにより日本代表に選ばれ、6キャップを獲得した。

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