勝敗分ける「サーブ」と「4枚攻撃」 大山加奈が語るバレーW杯観戦ポイント

田中夕子

W杯での活躍に期待する3選手

リベロの座安がどんな動きをしているのか。また違うバレーボールの楽しみ方が見えてくる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 個人的に、W杯での活躍がとても楽しみなのが座安琴希選手(久光製薬)と、島村春世選手、古賀紗理那選手(共にNEC)です。

 まずリベロの座安選手は今回が二度目のW杯となりますが、今回のチームでは中堅としてチームをまとめることに加え、リベロとして常に「フォローする」姿勢がプレーに表れています。サーブレシーブする選手に体を向け、もしボールをはじいてもフォローできる体勢をつくったり、スパイクを打つ時は必ずフォローに入り、空いているコースやブロックの枚数をアタッカーに伝える。私自身も経験がありますが、それだけでアタッカーはとても心強いもの。派手なフライングレシーブや、相手の強打を拾うディグ(スパイクレシーブ)のほうが会場は盛り上がりますが、リベロがどんな動きをしているのか。座安選手に注目してみると、また違うバレーボールの楽しみ方が見えてくるのではないでしょうか。

 ミドルブロッカーの島村選手は、チームのムードメーカーでもあり、しつこいブロックが持ち味の選手です。ディグ能力に長けた日本の選手でも、ノーブロックで相手に打たれた状況で全部拾うのはさすがに厳しい。スパイクコースを限定させる、ワンタッチを取って後ろのレシーバーにつなげることはとても重要で、それができているのが島村選手です。諦めずに粘って相手のスパイクに食らいつくブロックに加えて、攻撃の際はすぐにアタックラインまで下がって助走を取って準備に入る攻撃姿勢も素晴らしい。鉄壁のレシーブ力を生かすためにも、島村選手のブロック力や攻撃参加は日本にとって不可欠です。

 そして今大会が初のW杯出場となる古賀選手。まだ高校を卒業して1年目の選手ですが、同じフォームでストレート、クロスに打ち分けるスパイク能力だけでなく、レセプションやディグ、ディフェンス力も抜群です。特にアタッカー目線から言わせていただくと、古賀選手は「気づけばそこにいて難なくレシーブができる」選手です。派手ではないけれど、アタッカーからすれば「決まった」と思うところにいて、普通にレシーブを上げるうまさがある。大げさではなく、欠点が見つからないと言っても決して言い過ぎではないぐらい、とても高い能力を持った選手です。W杯は若手選手が出てきて活躍すると、チームにも勢いが加わります。ワールドグランプリ(GP)の活躍を見た海外勢からのマークも厳しくなるとは思いますが、伸び伸びとプレーしてチームに活力を与えてほしいですね。

まずは大会2日目が大一番

最初の山場は大会2日目のロシア戦。古賀(8番)は初のW杯でどんなプレーを見せるのか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 上位2か国に与えられる五輪の出場権を獲得するために、どの試合も負けられない試合ではありますが、やはりポイントになるのは米国、中国、ロシアです。ワールドGPファイナルでは敗れていますが、国内合宿ではかなり厳しい練習を重ねてきました。

 まずは大会2日目(23日)のロシア戦が大一番。この一戦に勝利したら勢いにも乗れるはずですので、会場で、テレビの前で、みなさんぜひたくさんのご声援、よろしくお願いします!

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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