ボルトの覇権を奪う選手は現れるか!? 世界陸上 男女短距離注目選手を紹介

及川彩子

400m挑戦 アリソンの3冠は?

女子400メートルでの金メダルを狙うアリソン 【写真:ロイター/アフロ】

 女子短距離の注目はアリソン・フェリックス(米国)の11年テグ大会に続く400メートルの挑戦。テグ大会では惜しくも2位に終わり、その後は400メートル挑戦を封印していたが、キャリアも終盤に差し掛かり、再び挑戦を決意。

「400メートルを上手にまとめて走れるかどうかが課題になると思う。400メートルは自分にとって自然に走れる種目ではないから。自信を持って走れるかどうかも重要」とアリソン。前回のモスクワ大会では、200メートル決勝でスタートから70メートルほどの地点で右太もも裏の筋断裂を起こして棄権となり、代理人でもある兄ウェスさんに抱えられ、涙にくれながら競技場を後にした。

「前回大会は残念な結果に終わったので、また世界選手権に出られるのがうれしい。北京では(08年の)北京五輪で金メダルを逃した経験もあるけれど、でも今回は新たな挑戦」と話し、400メートルのほかに4×100メートル、4×400メートルリレーにも出場予定で、世界選手権大阪大会に続く3冠を狙う。

 アリソン出場予定の女子400メートル決勝は、大会6日目の27日に行われる。

フレイザープライス3度目の優勝?

世界選手権の女子100mで3度目の優勝を狙うフレイザー・プライス 【写真:ロイター/アフロ】

 一方、最速女王を決める女子100メートルでは世界選手権3度目の優勝を目指すジャマイカのシェリーアン・フレイザー・プライスを中心に戦いが繰り広げられる。

 フレイザー・プライスは、7月のパリ国際で10秒74(追い風0.2メートル)の今季最高を出しており絶好調。武器となるスタートで他に差をつければ、そのままゴールする可能性は高い。

 フレイザー・プライスを追うのは米国の2選手。全米選手権を制したトリ・ボウイは今季10秒81(追い風1.2メートル)、2位のイングリッシュ・ガードナーは予選で10秒79(追い風1.5メートル)を記録し、女王に迫る実力がある。フレイザー・プライスがスタートでミスをすれば、米国選手が連覇を阻止する可能性もある。

 最速女王を決める争いとなる女子100メートル決勝は、大会3日目の24日に行われる。

混戦の200m、注目は2人の新星

女子200メートルで頭角を現してきたダフネ・シパーズ 【写真:ロイター/アフロ】

 フェリックス不在で大混戦となりそうな女子200メートルは、白人選手2人が注目となる。元7種競技選手のダフネ・シパーズ(オランダ)は、7月中旬のダイヤモンドリーグ第10戦モナコ大会で22秒09(向かい風0.3メートル)を出すなど好調だ。

 千葉県で行われた事前合宿でもスタート練習を入念に確認するなど、レース本番を見据え、後半からのペースアップと力強い走りが特徴的だ。

オレゴン大学の大学生ジェナ・プランディーニ。日本のファンの応援を糧に、メダル獲得を狙う 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 もう1人は米国・オレゴン大学の大学生ジェナ・プランディーニ(米国)。全米学生選手権で100メートル、200メートル、走幅跳の3冠を達成。全米選手権では、100メートル6位となり残念ながら代表権を逃したが、200メートルは22秒20(追い風0.4メートル)の自己ベストで優勝。一気にメダル候補に躍り出た。幼い頃から父親に陸上の指導を受け、早くから注目されていた逸材だが、世界ユースや世界ジュニアには縁がなく、今回が初のシニア代表になる。

 プランディーニは17日、朝9時からお昼過ぎまで練習をし、その後米国陸上競技連盟主催の陸上教室「Run,Jump,Throw」で成田市内の小学生を熱心に指導。その後は千葉県主催の歓迎式典、記者会見に出席するなど忙しい一日を過ごしたが、笑顔を絶やさなかったのが印象的だった。米国はもちろん、日本のファンの応援を糧に、好パフォーマンスを披露できるか注目したい。

 混戦必至の女子200メートル決勝は、大会7日目の28日に行われる。

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著者プロフィール

米国、ニューヨーク在住スポーツライター。五輪スポーツを中心に取材活動を行っている。(Twitter: @AyakoOikawa)

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