星奈津美を強くした“バタフライ攻め” 待望の金メダルでチーム日本に弾み

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ひそかに誓った恩師への恩返し

師事する平井コーチ(右)は、星の前ではあえてメダルを意識した発言を控えた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 今大会では、星のライバルと言える存在だったロンドン五輪銀メダリストのミレイア・ベルモンテ・ガルシア(スペイン)が肩の負傷で欠場。加えて、大会2日目の女子200メートル個人メドレー決勝で、渡部香生子(JSS立石)を世界新記録で破ったカティンカ・ホッスー(ハンガリー)が、200メートルバタフライでは準決勝で姿を消した。決勝前、平井コーチは星が優勝するチャンスを強く感じていたが、本人の前ではメダルを意識した発言を控えていたことを明かしている。
 
 平井コーチの見立てによると、星は「羊の皮をかぶった狼」だ。普段はおおらかな性格だが、芯が強く、内面に秘めたガッツがある。言葉に出さなくても、練習で自信をつけていくはず。そんな平井コーチの期待に、星は最高の結果で応えてみせた。

「ここまで面倒を見てもらって、手術明けからどんどん強くしてもらいました。金メダルを取ってひそかに恩返しをしたいなという気持ちを持っていたので、それが実現できてよかったです」(星)

チーム日本、メダルラッシュなるか

 待望の日本勢金メダル第1号は、他の日本代表にもすでに好影響を与えている。直後の男子200メートル平泳ぎ準決勝に出場した小関也朱篤(ミキハウス)は2分8秒03と予選から2秒44もタイムを縮め、全体1位で決勝進出を決めた。
「(星が)僕の前で優勝したので、やってやるぞという気持ちになりました」

 さらに後を泳いだ入江陵介(イトマン東進)も良い流れを感じている。
「奈津美が優勝してくれてすごくうれしいですし、いよいよ来たなという感じです。この波をみんなで途絶えさせないようにしたいと思います」

 金色に輝くメダルを手にした一番星が、不振の続くチーム日本メダルラッシュの口火となるだろうか。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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