新人王争いは“独走のセ”&“混パ” セは山崎康が濃厚、パは有原に期待!

ベースボール・タイムズ

本命不在で“混パ”の新人王レース

開幕には出遅れたものの5月からローテ入りし、4勝を挙げている有原。新人王のためには後半戦のローテ死守が欠かせない 【写真は共同】

 続いて、パ・リーグ。優勝争いでは各チームの順位が固定されてきたが、新人王争いは混迷を極めている。

 6月までは西野真弘(オリックス)が本命候補に挙がっていたが、7月2日の北海道日本ハム戦で右手を骨折して戦線離脱。ドラフト7位入団ながら堅守俊足を武器にレギュラーに定着し、打率3割4厘、3本塁打、22打点とバットでも結果を残していたが、全治2カ月の診断で大きく後れを取ることになった。

 代わりに浮上したのが、スピード自慢の2年目外野手・岡大海(北海道日本ハム)だ。昨季はけがに泣かされたが、今季はここまで78試合に出場して打率2割4分2厘、4本塁打、26打点とまずまずの成績を残している。しかし、新人王としては物足りない数字であることも確か。盗塁16は大きなプラス材料となるだけに、後半戦で打率をどこまで上げることができるかが鍵となる。

 他の野手陣では、福田将儀(東北楽天)、中村奨吾(ロッテ)、高田知季(福岡ソフトバンク)、さらには浅間大基(日本ハム)らが候補となるが、いずれも数字的に物足りない。パ・リーグでは98年の小関竜也(西武)を最後に“野手新人王”が誕生しておらず、少なくとも不動のレギュラーとして働くことが受賞の条件になる。

登板し続ければ“4球団競合”の有原も

 過去の例を見ても、やはり投手の方が有利だろう。開幕前に新人王候補に挙げられていた郭俊麟(埼玉西武)が3勝5敗、防御率4.53、山崎福也(オリックス)も1勝3敗、防御率4.84とさえず、中継ぎでは二保旭(ソフトバンク)が29試合で5勝1敗、防御率3.00、白村明弘(日本ハム)が24試合で1勝0敗、防御率1.97の好成績を残しているが、最も多くの期待を集めるのが、4球団競合の末にプロ入りした大型新人・有原航平(日本ハム)だ。好不調の波が激しく、ここまで9試合で4勝4敗、防御率5.79という成績にとどまっているが、後半戦の出来次第では新人王を狙える。

 指標は2ケタ勝利。週1回のペースだと残りのシーズンで計10回の登板機会が見込まれる。元日本ハムのエース・西崎幸広氏は「期待はしているけど、10回中6回勝つのはかなり難しい」とした上で、「急に崩れる場面も目立つ。計算ができないと、優勝争い、CS争いが激しくなった時に登板を飛ばされる可能性もある。まずはしっかりとした信頼を得て、マウンドに立つことが第一条件」と指摘する。

 だが、その一方で「新人王は記者投票だから、印象度やイメージというものも大事」と西崎氏は言う。87年に15勝7敗、防御率2.89と出色の成績を残した西崎氏だが、新人王投票では15勝12敗、防御率2.88、亜細亜大学出身の阿波野秀幸(近鉄)に大差を付けられた(西崎氏はパ・リーグ会長特別賞を受賞)。「僕は地方の大学(愛知工業大)でしたし、シーズン中から僕も含めて『新人王は阿波野で決まり』と言っていましたからね」と当時を振り返る。

「名門・早稲田大出身」「ドラフト1位で4球団競合」「将来のエース候補」。有原の持つイメージは大きなプラス。00年以来の“該当者なし”という結果など、誰も望んでいないはずだ。

(文:三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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