全勝の大学侍ジャパンに一切の油断なし ユニバ金「三度目の正直」へ視界良好
郭李監督率いる台湾の注目選手は人気俳優
韓国戦で先発した柳は6回無失点の好投。後続も続き、日本は予選3試合で無失点と投手陣も万全の状態だ 【写真は共同】
中でも注目は、郭李監督が「新庄剛志のような部分は確かにありますね」と笑う1番打者・曹佑寧。走攻守三拍子そろった右打の外野手で、投・打・守での「スピード」をチーム強化の根幹と考える郭李監督の野球に欠かせない存在だ。
また、永瀬正敏さんらが出演し日本でも上映された台湾映画『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』にも台湾チームのメインキャストに抜てきされ、俳優との「二刀流」選手でもある。その端正なルックスで、大会のボランティアスタッフたちがサインを求めて、試合後の曹に駆け寄るなど、光州でも人気を博している。
そして、走者に出た曹をホームに返す役割の3番・楊岱均と4番・王柏融も、長打力に加え、粘り強さもある怖い存在だ。守備面では全体的に、日本と比べ脆さも感じる部分はあるが、左右に好投手が複数おり、試合を大きく崩すことはなさそうだ。
天候も味方につけ、過去2回の雪辱期す
また春季リーグ戦では実力を発揮できなかった選手たちの復調も大きい。
右腕の柳裕也(明治大)は韓国戦で最速146キロと伸びのあるストレートを武器に6回無失点の好投を見せ、後を継いだ大型左腕・上原健太(明治大)も最速148キロのストレートで押し切り、韓国打線を3者凡退に抑えた。澤田圭佑(立教大)らも好調で、エースと目される田中正義(創価大)は韓国戦で1イニングに投げたのみのフレッシュな状態で決勝トーナメントに臨む。
野手では春季リーグ戦で打率1割4分6厘に沈んだ谷田成吾(慶應義塾大)が中国戦でバックスクリーン横に飛び込む本塁打を放ち、善波監督も「自らの持ち味を出してくれている」と目を細めている。3試合続けての大勝だが、毎朝、毎晩多くの選手が選手村で素振りに励むなど気の緩みは一切見当たらない。
主将兼正捕手の坂本は、「どの投手もストレートが走っているので変化球が生きますし、予選リーグではインコースにそこまで配球しておらず、リードの引き出しはまだあります」と投手陣のさらなる伸びしろにも手応えをつかむ一方で、「決勝トーナメントでもやるべきことは変わりません」と引き締まった表情で話した。
過去2回(1993年、95年)の大会では4位、3位に終わった雪辱を「三度目の正直」で晴らすことができるか。
体力・気力十分の状態で、日本が10日の準決勝、11日の決勝に臨む。