レッドコードで身体本来の動きが目覚める 不安定な体勢と安定した体勢を繰り返す

細野史晃

【細野史晃】

レッドコードがなぜ有効なのか?

【細野史晃】

 ノルウェー発のレッドコードという名のトレーニング器具。負荷が軽い運動で、普段使わない身体の奥の小さな筋肉をしっかり働かせることができるため、リハビリやスポーツの現場で有効活用できると言われています。

 前回は、良い姿勢が全身の健康に大きく寄与すること、姿勢を良くするためには背骨の動きとその周辺の筋肉を使うことが大切だとお伝えしました。今回は、このレッドコードがなぜ有効なのか? そのあたりを詳しくご紹介したいと思います。

 ファンクショナルトレーニング――その名の通り、機能向上のためのトレーニングを安全かつ簡単に行うことができるため、レッドコードは有効だと言えます。では、なぜファンクショナルトレーニングができるのでしょうか?

 そのヒントは、バランスにあります。バランスを崩すということは、重心を身体の外に出して不安定にすることです。このバランスを崩そうとすると、基本的に身体は反射的に元の安定した場所にいようとします。もしくは、安定させるために、倒れていく方向に手や足などを出してバランスを取ろうとします。
 バランスを取ろうとする時に背骨が動き、その周辺の筋肉が姿勢をキープするために働きます。これらの動きを日常動作で作ろうと思うとなかなか難しく、仮にできたとしてもコツが必要になります。レッドコードを使うことで、その動きを助けるのです。

 その中でも、なかなか普段意識してやらない動きが背骨の「前屈と後屈」「側屈」「回旋」の動きです。この動きを最大限行うことが良い姿勢を作り、身体の凝りや痛みなどを改善することになります。

側屈

【細野史晃】

 前回の「前屈と後屈」に続き、今回は「側屈」の動きをご紹介します。



 前屈と後屈は主に肩甲骨周りの筋肉を使いました。今回の動きでは、肋骨周りの筋肉を使います。この肋骨周りの筋肉は、肩甲骨以上に普段は使われません。筋肉でいうと「前鋸筋(ぜんきょきん)」と呼ばれる筋肉が主に使われます(※写真で触っている周辺の筋肉が前鋸筋です)。

【細野史晃】

 前鋸筋を縮めると、上の写真の状態から下の写真の状態になります。
 ここは肩甲骨と肋骨をつなぐ筋肉で、この部分が動かなくなってくると肩が前に出やすくなり、肋骨も縮み込んでしまいます。そうすると呼吸が浅くなり、結果的に猫背になってしまうことがあります。

 レッドコードを使った方が上手く意識できますが、自宅でも似たような動きを意識すればトレーニングできます。ぜひ、今回の内容の理論も意識しながら運動してみてください。
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著者プロフィール

ランニングコーチ・スポーツコンサルタント。 Sun Light History 代表 1985年、京都生まれ、東京育ち。都立小石川高校(現・東京都立小石川中等教育学校)→国立埼玉大学→株式会社リクルート HR マーケティングを経て、ランニングコーチとして独立。中学から陸上競技を始め、高校から三段跳へ転向、大学時に日本ランキング入りを果たす。指導者がいない競技人生を経験し、よい指導者や指導法との出会いはスポーツをより豊かにするという思いから指導者を志す。自身の経験と学びから『楽RUNメソッド』を開発。短時間の指導でも自己記録更新まで導く手腕には定評がある。指導者のみならず、スポーツの価値を高めるためのアドバイザーとしても精力的に活動している。 主著「マラソンは上半身が9割」「マラソンは三日坊主で大丈夫!」

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