ハリルホジッチ「勝利し続けていきたい」 国際親善試合 イラク戦後会見

スポーツナビ

個人の能力を組織に生かすのが強豪国への道

ハリルホジッチ監督は「今日のチームはかなりテクニックがある選手を選んだ」とコメント 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】

──3月の試合から精度が上がったように見えたが、合宿に全員がそろって戦術練習をしたのは一回だけだったと思う。なぜ監督の望むことがここまでピッチで表現できるようになったと考えるか?

 今日のチームはかなりテクニックがある選手を選んだ。彼らには、動きながらのワンタッチ、ツータッチを要求した。オフェンス面では7〜8人が攻撃参加する。両サイドバックもかなり(ラインを)上げる。柴崎(岳)、香川(真司)、岡崎、本田。彼らがボールを支配して、グラウンダーのボールをつないでいけば、かなりハイレベルの試合ができる。皆さんがトレーニングをご覧になったかは分からないが、かなり速いパス回し、コンビネーション、そして動きながらのワンタッチ、ツータッチのプレーを何度も何度も繰り返してきた。そして(今日の試合では)サポーターがスタンドを埋め尽くしてくれたし、ピッチ状態も良かった。それ以上の何を望めるだろうか。選手はスペクタクルなプレーをするだけだった。

 皆さんも満足してくれたと思う。ジャーナリストも何が起こったのか、しっかり分析してほしい。まだ(トレーニングを始めて)3カ月なので、まだまだ理想からは遠いし、そんなに向上したとは思わないが、それでも多くのことができた。今日の宇佐美(貴史)のメンタルを見ただろうか。「もっと行けよ、行けよ」と香川や本田にも要求していた。岡崎は勝手に行っていたが(笑)。そういったことを彼らは喜んでやってくれていたし、自分たちから喜びを見いだしていた。W杯のあと、デリケートな時間を彼らは過ごしていた。だから抜本的に変えて、彼らを勇気づけた。この先、試合に負けることもあるかもしれないが、そういうときでも彼らの反応を見てみたい。われわれは向上を続けながら、毎回の合宿ではもっと厳しく要求したい。清武はとてもトレーニングをしていたので(離脱したのは)残念だったが、競争意識は全てのポジションにある。それがチームの力になっている。もちろん出られなかった選手は満足していないだろうが、それがチームというものだ。

──監督のサッカーでは、一人一人のやる気も大事だと思うが、自発的なプレーとチームとしてのプレーのバランスというものを今日の試合からどう考えるか?(大住良之/フリーランス)

 個人の能力をチームに生かすことが大事だ。個人の能力を閉じることはしない。本田も宇佐美も香川も能力があるので、彼らは何かを見せないといけないが、チームとしての機能を果たさないといけない。一人だけのプレーではないということを彼らは理解する必要がある。それがチームの力だ。個人の能力を組織に生かすということだ。それが強豪国への道だと思う。フィジカル的にも、もっと良い準備をしたい。フィジカルは、さらに20%向上すると思う。(それが実現すれば)どんなチームに対しても、良いプレーができる。われわれは世界のナンバーワンからまだまだほど多い。われわれが予選を突破できるか、私がこのチームに居続けることができるのか、今はまだ分からない。3年後もいられるのか、このチームと一緒に働き続けることができるのか、見ていてほしい。(その上で)このチームを向上させたい。

イラク代表、アクラム・セルマン監督のコメント

「日本からは多くを学んだ」と試合を振り返ったイラクのアクラム・セルマン監督 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 日本代表におめでとうと申し上げたい。(イラクは)ハードラック(不運)だった。日本は良いサッカーを見せると思っていたが、冒頭の15分は失点なしでいきたかった。(結果として)2点のビハインドとなってしまい、選手たちが自信を失ってしまった。逆に日本は2点リードして自信を得たようだ。われわれは長い旅で疲れていたし、選手も米国やイングランドやスウェーデンから合流した選手もいる。そういったことも影響していると思う。最初の15分の失点は、いずれもわれわれの守備のミスだった。そしてわれわれのレビン・ガリーブという選手は、2日間しか練習をしていなかった。また今回は、4人の選手が来日することができなかった。キャプテンのユニス・マフムードがいなかったことも選手に影響を与えたと思う。

 最後の4失点目も、われわれのミスであることは明らかだ。われわれのコンディションは良くなかったが、日本からは多くを学んだ。

──今回は日本に対して1−4で敗れた2000年の試合以来もっとも厳しい試合となった。この敗戦によって、監督の方針に変化はあるのか?(アラビア語)

 今回の試合はインドネシアとの公式戦(W杯アジア2次予選)の準備となるはずだったが、それがキャンセルになったために選手たちのモチベーションを下げてしまった。それでも今回は勉強になった。守備の弱点もいろいろと分かったので、今後そのミスがないように努力したい。

──マフムードを連れて来られなかった理由は何か? また彼はすでにベテランだが、今後も主力選手であると考えるか?(宇都宮徹壱/フリーランス)

 今回はマフムード以外にも3人の主力がいなかった。彼らがいれば今回の結果は変わっていた。マフムードが来られなかったのは、大学の試験という個人的な理由によるものだ。今は国内リーグもストップしており、戦争の影響も選手たちのパフォーマンスに影響を与えている。マフムードの代わりとなる選手がいないことはわれわれの悩みでもある。

──日本の印象はアジアカップ、W杯予選と比べてどうだったか? 特に序盤の15分は日本のスピードに対応できていなかったようだが?(田村修一/フリーランス)

 われわれは最初から日本の能力を分かっていた。われわれの選手たちは長旅で疲れていたし準備不足だった。アウェーで日本に勝利するのは難しかった。

※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント