ユーベを凌駕したバルサのプレースピード MSNが試合を決めて3冠対決を制す
守備の連係不足を突いた同点ゴール
守備の連係不足を突き、リヒトシュタイナー(左)がボールを奪うと、最後はモラタが同点ゴールを挙げた 【写真:ロイター/アフロ】
後半10分、敵陣のスローインに高い位置からプレッシャーをかけ、アウベスにクリア気味のボールを蹴らせると、リヒトシュタイナーがネイマールからボールを奪う。すぐに前方へ飛び出すと、マルキージオのヒールパスから、アルバの背後を陥れた。そして、この折り返しをテベスが反転シュート、さらにこぼれ球をモラタが押し込み、ユベントスは1−1の同点に追いつく。
MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)が守備をしている、と言っても、それは前向きにボールを追う場面がほとんど。たとえば受け身に回った自陣の2対2で、MSNがどれだけ働いてくれるかといえば、それはアリバイ程度にしかならない。局面的には、ネイマールとアルバは、マルキージオとリヒトシュタイナーに対して2対2になっていたが、連係した守備ができなかった。MSNと後方の守備連係不足を突くユベントスの攻撃が、功を奏した格好だ。
MSNが見せたカウンターの破壊力
試合を決めたのはやはりMSNの3人(左からスアレス、メッシ、ネイマール)だった 【写真:ロイター/アフロ】
見事な決勝点を挙げたバルセロナは、最終的に3−1で勝利し、3冠を成し遂げた。
終わってみれば、驚きの少ない決勝戦ではあった。試合の終盤、バルセロナは追加点を取るよりも、時間を稼いで、そのまま1点差で試合をクローズさせる意識が強かった。たとえば、08−09(2−0)、10−11(3−1)シーズンのバルセロナのCL決勝は、2試合とも対戦したマンチェスター・ユナイテッドに対して、もっと余裕のパス回しで優雅に試合を終わらせ、鼻につくほどの“圧倒感”を残したものだが、今回はそのような決勝とは異なる。
それもこれも、ドリームチームを、やや普通のリアルチームに変えた、ルイス・エンリケ監督の性格が表れているのか。あるいは、どんな相手にも必ず接戦を演じてみせるのは、イタリア王者たる所以(ゆえん)なのか。
いずれにせよ、勝ちたいという双方の熱がひしひしと伝わる試合だった。