過去とは一線を画した王者バルセロナ 3トップの破壊力を生かしてリーガを制す
レアル・マドリーが終盤に失速した原因
シーズン後半に失速したレアル・マドリー。慣れない中盤で起用されたセルヒオ・ラモス(右)は本来の力を示すことができなかった 【写真:ロイター/アフロ】
過去に何度も繰り返してきたように、昨夏もフロレンティーノ・ペレス会長はチームの需要より選手の市場価値を重視し、ハメス・ロドリゲスやトニ・クロース、ケイラー・ナバスらワールドカップで活躍した旬の選手を買い集める傍ら、昨季のメスト・エジルに続いてシャビ・アロンソ、アンヘル・ディ・マリアらキーマンを放出してきた。
さらにルカ・モドリッチやサミ・ケディラにけがが相次ぎ、ルーカス・シウバやアシエル・イジャラメンディがほとんど戦力とみなされない状況下で、最終的にアンチェロッティはセルヒオ・ラモスを中盤で起用するに至った。だが慣れない役割を任された彼のプレーは、本職のセンターバックで見せるパフォーマンスを遥かに下回るものだった。
またアンチェロッティは不調続きのガレス・ベイルやカリム・ベンゼマに故障が生じた際、ハビエル“チチャリート”エルナンデスが出番を与えられるたびに結果を出しているにもかかわらず、多くの試合でハメスとイスコを2トップの後方に配置した4−2−2−2のシステムを採用してきた。だが少なくない選手が本職とは異なるポジションで起用されたことも含め、なかなかシステムが定まらなかったことがシーズン終盤における不安定なパフォーマンスにつながった感は否めない。そしてその代償として、豊富なタレントと世界一の資金力を誇るレアル・マドリーは主要タイトル無冠のまま2014−15シーズンを終えることになった。
トップレベルの力を示したアトレティコ
攻守のキーマンを放出しながらリーガ3位が濃厚なアトレティコ・マドリー。CLでも2季連続の8強入りを果たした 【写真:ロイター/アフロ】
それでもアトレティコはスーペルコパ・エスパーニャとコパ・デルレイでレアル・マドリーを下している。CLの準々決勝ではそのレアル・マドリーに敗れたものの、オフにティボ・クルトワやフィリペ・ルイス、ジエゴ・コスタといったキーマンを放出したことを考えれば、上々のシーズンだったと言うべきだ。
今季加入した新戦力の多くは、先述した選手たちに比類する活躍を見せることができなかった。それでもリーガは3位で終える可能性が高く、CLでも2季連続の8強入りを果たしている。これらの健闘は、来季もこのチームに国内外でトップレベルを維持していく力があることを物語っている。
(翻訳:工藤拓)