代表選考の「チーム貢献度」に注目 体操・NHK杯見どころ

日本体操協会:遠藤幸一

「0.1」の大切さを学んだ

昨年の世界体操団体総合では2位に終わった日本男子。1位中国との差は0.1だったが、そのことで選手たちは成長している 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 ライバル国である中国の南寧で開催された2014年の世界体操競技選手権大会。団体総合で日本男子チームは、残念ながら悲願の優勝を勝ち取ることはできず2位に終わった。

 1位中国との差はわずか0.1。この点差は、単純に着地1歩動くか動かないかという差であり、男子6種目各3選手が演技を行う18演技中、どこか1カ所でも着地が動いてしまった選手が動かなかったら同点優勝になっていた。そう考えると、その差はあってないようなものだ。

 競技終了直後は、日本の選手たちも敗れた現実を理解できず、そのはけ口を探して愚痴をこぼす者もいたようだが、翌日にはしっかり前を向いていた。そのポジティブな姿勢に感銘を受けたし、0.1の大切さを学んだことで、チームはまた一回り成長したように思う。

男子はNHK杯で2名が代表決定

すでに世界選手権代表を決めている内村。NHK杯で決まる2人と合わせた得点で、そのほかの3人の代表が決まる「チーム貢献度」が導入された 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 さて、04年アテネ五輪で団体優勝を果たしてから11年目を迎えようとしている。世界的なスーパースター内村航平(コナミスポーツクラブ)が何度も挑戦していて手にしていない団体でのタイトル。今年こそ、その栄冠を手にし、翌年に控えるリオデジャネイロ五輪、そして20年に開催される地元日本での東京五輪を前に弾みをつけたいところ。

 そこで、日本体操協会男子強化本部は、今年の世界選手権(10月〜11月、英国グラスゴー)の代表選考において、「チーム貢献度」という新たな方法導入を決めた。

 まず、14年の世界選手権個人総合優勝者ということで内村の代表を早々に決めた。そして5月17日に行われるNHK杯(東京・国立代々木競技場第一体育館)において、4月に開催された全日本選手権での得点の半分を持ち点として行われる個人総合で、内村を除く上位2名に代表の権利を与える。

 つまりNHK杯の時点で3名の代表が決まることになる。そしてその3名を軸として残りの3名を「チーム貢献度」という方式で選考する。

内村らの3大会の最高得点がベース

「チーム貢献度」はチーム得点の算出により判断するため、まず内村とNHK杯で決まる2名の、各種目の得点確定がベースとなる。

 チーム貢献度は、6−3−3制(6名のエントリー選手の中から各種目3名が演技し、そのすべての得点合計をチーム得点とする)を想定して行われるが、内村の現時点での各種目の得点はすでに示すことができる。

ゆか=15.766
あん馬=15.133
つり輪=15.000
跳馬=15.400
平行棒=15.450
鉄棒=15.900

 詳細は割愛するが、NHK杯、全日本種目別予選・決勝(20日、21日/東京・国立代々木競技場第一体育館)という3回の試合結果で、種目の得点が前述の得点を上回れば、高い得点の方がチーム得点算出のために使われる内村の得点となる。

 一方、NHK杯で決まる残り2名のチーム得点算出のために使われる得点は、全日本個人総合予選・決勝、NHK杯、全日本種目別予選・決勝という5回の試合結果をみて、各種目の最高得点とする。

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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