最強クラブ決定戦で見た野球普及の課題 元ロッテ・清水直行、NZでの挑戦(4)

清水直行

大会はソフトボール用の球場で実施

真剣にプレーする子どもたちの姿に観客席からは拍手、声援が送られた 【(C)SAMURAI JAPAN】

 大会で使用したのは、ソフトボールの球場だった。羨ましいぐらいに立派な設備が整っている。敷地内にはスタジアムが2面。さらに練習場所も3面あった。メーンスタジアムには観戦可能なスタンドまであった。

 たが……。野球をするとなると、手放しでは喜べない。まずはフィールドの距離。野球よりも塁間やマウンドからホームまでが短い。そもそも、ソフトボール専用だから、マウンドがない。主催者のベースボールニュージーランドは大会前に土を盛り、プレートを埋め込み、手作りマウンドを完成させていた。塁間も野球用に様変わりしていた。

 試合中は、子どもたちの真剣プレーに観客席から拍手が起こった。ベンチの近くでは、子供に応援やアドバイスの声を飛ばすお父さんやお母さんもいる。日本から約1万キロ離れた場所に、自分の幼いころの原風景が描きだされているようで、うれしくなった。

 成長を見越して買ってもらった体より少し大きめのユニホーム。それを誇らしく身にまとって、砂まみれになりながらボールを追いかける。ニュージーランドでも見つけることができた。野球の原点だ。こんな光景が大好きだ。

※ニュージーランドの野球事情と日本の役割を、元ロッテのエース・清水直行氏による手記から考えるシリーズ企画です。

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著者プロフィール

1975年11月24日生まれ 京都府出身。報徳学園高、日本大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位で千葉ロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回と2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現・横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。

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