内村8連覇の影で躍進した東京五輪世代 大学1年生の萱、白井らに見えた覚悟
国内でも「世界」を感じられる環境
昨年のインターハイチャンピオンの谷川も13位につけた。今後、この世代が20年東京五輪に向けて、しのぎを削っていくことになるだろう 【赤坂直人】
白井健三の存在も大きい。同級生であり、ずっとしのぎを削ってきた白井が、すでに2度も世界選手権に出場し、種目別ではメダルも獲得している。そのことで彼らには「世界」がリアルなものであり、身近に感じられているようだ。
世界一レベルの高い日本では、国内で代表の座を勝ち取ること自体が難しい。しかし、だからこそ、もしも「世界」の舞台に出る機会があれば、自分たちもきっといい勝負ができる、と思える。そんな環境に彼らはいる。
世界チャンピオンになっても、そうそう勝たせてはくれない同級生たちは、白井にとっても、得難いライバルであり、仲間と言えるだろう。
気がつけば世界の頂点へ
今の大学1年生たちを見ると、まさにそうだろう。日本が久しぶりに五輪で団体金メダルを獲得した04年アテネ五輪の年に、彼らは7歳だった。内村が初めて五輪に出場した08年北京五輪の年には11歳。
体操選手としての人生のスタートを切ったころからずっと、彼らは、「世界でトップ争いをする日本の体操」を見てきた。そして、「いつも頂点に立つ内村航平」を見てきた。そして、その後継者となるのは自分たちなのだ、と、覚悟を決めていたのだろう。
まだ、18〜19歳。この先にはたくさんの壁もあるだろう。それでも、彼らはきっと昇りつめていけるのではないか。内村をはじめとする、多くの偉大な先輩たちの背中を追いかけ続け、気がつけば、いちばん高いところに、みんなで立っているかもしれない。
今大会は、そんなうれしい予感に満ちた大会となった。