ダル離脱の衝撃、6人ローテは解決策か 後を絶たないMLBのトミー・ジョン手術
開幕前に消えたダル活躍の夢
オープン戦初登板で右肘を痛めトミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ 【写真は共同】
初めてのオープン戦登板で右肘に異常を訴えると、その後のMRI検査で右肘側副じん帯の損傷が発覚。現地時間3月14日(日本時間15日)にはトミー・ジョン手術を受けて、これでダルビッシュが長期に渡って戦列を離れることが確定した。
「しばらくはほとんど何も出来ないですが、焦らずゆっくりリハビリをしていきます」(原文ママ)
ブログ上でそう報告したダルビッシュは、実際に長い雌伏の日々を余儀なくされる。復帰までに必要な期間は一般的に12〜16カ月。“メジャーでも見ていて最も楽しい投手の1人”と評されるようになっていたエースは、おそらく2016年の夏ごろまでマウンドに立つことはない。
好投手が次々とトミー・ジョン手術を受ける
手術は避ける方向に進んだものの、昨シーズン中にはヤンキースの田中将大が右肘じん帯の部分断裂を経験したことが大きなニュースになった。肘を痛める投手たちにビッグネームが多く含まれていることから、この問題は近年のMLBのトレンドであり、最大の懸念材料になりつつある。
「私たちは可能な限り、彼を守ってきた。先発機会の合間にはより多くの休みを与え、起用法、球数も安定したものにしてきたのに……」
当時21歳だったフェルナンデスが昨年5月に離脱した直後、マーリンズのマイク・レッドモンド監督が呆然としていた姿も記憶に新しい。
「ローテーションを守ることの厳しさ」「変化球の投げ過ぎ」などが故障者続出の代表的な要因として挙げられ、近年は多くのチームが過剰なまでに球数、イニングを制限している。ただ、それでもケガ人増加には歯止めがかからない。
一因は速球派投手の増加傾向か
「肘のケガは精密に発見されるようになった。あるチームのGMは、『10年前であれば田中は痛み止めを受けて投げ続けていただろう。単なる腱炎と発表されていたはずだ』と語っていた。そのGMは古き良き時代を懐かしんでいるわけではない。医学が進歩したことを認めているだけだ」
ESPN.comのバスター・オルニー記者がそう記していた通り、医療技術向上により、これまで見えなかったものが見えるようになったという説もある。
医学の発達はトミー・ジョン手術のリスク低下、選手側の抵抗感の減少にもつながる。こういったさまざまな要素が合わさって、近年の肘のケガ頻発、手術を受ける選手の続出は引き起こされているのだろう。