“戦うフリーター”のストレッチ術 37歳・所英男を支える実践法

長谷川亮

翌日のコンディションや疲労感は絶対に違う

プロの格闘家や様々なスポーツ分野で活躍したプロのトレーナーが勢ぞろい 【長谷川亮】

 所自身もオープンに伴い、以前に増してストレッチに対する意識が高まったと言う。

「前は練習前に少しだけやって、練習が終わったらそのまま上がりだったんですけど、もう若くないし(苦笑)、日ごろのできることはちゃんとやっておかないと。疲れの残った重い状態でやるのと、フレッシュな状態でやるのでは全然練習内容も変わってきてしまいます。ただ頑張るスパーになるのか、自分がコントロールして考えてやれるのか。もう全然練習の質が変わってくるんです」
 スタッフには所のアマチュア時代からの盟友でZST王者にも輝いた奥出雅之、GUTSMAN・修斗道場所属で現在はパンクラスで戦う山内慎人、修斗で活躍する山本賢治といったプロの格闘家やさまざまなスポーツ分野で活躍したプロのトレーナーが揃い、体のケアをしてくれる。所自身はストレッチの実践法を次のように話す。

「やっぱり家に帰るとお風呂に入って寝るだけで何もやらないので、もう練習場所でやるようにしています。ストレッチトレーナーに聞くと、自分でやれるセルフストレッチもすごく教えてくれて、そのアドバイスだけでも全然違うし、実際にマンツーマンのストレッチをやってもらうともっと違います。

 やっぱり選手寿命を長くしたかったら、そういうケアが大事だと思います。1つのストレッチを20秒〜30秒、“今日は腰が硬いな”って思ったらお尻のストレッチをやったり、気になる部位をやってます。そうすることで、翌日のコンディションや疲労感は絶対に違います」

37歳、今も戦い続けられる秘密

37歳となった肉体を支えているのは、体力よりもコンディション 【長谷川亮】

 こうした心掛けと取り組みが、30代後半となった今も、所が戦い続けることができる秘密なのかもしれない。
「もう練習をいっぱいすればいいっていう年じゃないし、体力というよりコンディションです。いかにコンディションよく1回1回しっかり練習をするかっていうのが重要だと思うので、やっぱりストレッチでのケアが大事ですよね。その上でケガをしてしまったら、お医者さんに行けばいいだけなので。前は本当に何もしなかったけど、今はもうおじさん格闘家なので(笑)、昔より気を遣うようになりました。でも、おじさん格闘家でもストレッチをしっかりやれば、長く、コンディションよく続けられると思います」

 体力よりコンディション――自分の体調をよく把握して、自分でケア・管理をする。格闘技だけにとどまらない、中年スポーツ愛好家に通じる大事な考えがそこにはあるよう思われた。

ペアのストレッチを実践!

【写真1】もも(腿)の裏のストレッチ 【長谷川亮】

 ここで、ペアになってのストレッチを2つ実践してもらった。

 写真1はもも(腿)の裏のストレッチで、写真2はそのストレッチ上から撮影したもの。

【写真2】もも(腿)の裏のストレッチを上から撮影 【長谷川亮】

【写真3】上げている足と反対の足が上がってしまうと良くない 【長谷川亮】

 写真3、写真4のように反対の足が上がってきてしまうとよくないので、写真5のように上から足をかぶせて押さえる。

【写真4】同様に反対の足が上がってしまわないように 【長谷川亮】

【写真5】反対の足が上がってしまわないように、上から足をかぶせて押さえるといい 【長谷川亮】

【写真6】肩回り・胸を伸ばすストレッチ 【長谷川亮】

「一気にやり過ぎてしまうと筋肉を傷めてしまうので、段階を踏んでゆっくり伸ばしていきます。自分の体に合わせてやってもらうのが安全。伸ばしてもらう方が『今どれぐらい伸びてます』ってコミュニケーションを取りながらやってもらうと、ケガなくやってもらえると思います。20秒から30秒ぐらいキープすると筋肉が伸びますが、MAXの状態で伸ばして20秒だとツラいし痛いので、ちょっと緩めたぐらいのところで20秒〜30秒ほどキープしてもらのが一番筋肉が伸びやすいと思います」(元住吉店プロストレッチトレーナーの加藤美貴さん)

 写真6は横になって肩回り・胸を伸ばすストレッチ。

【写真7】ゴロンと背中が床に着いてしまわないように 【長谷川亮】

 そのまま腕を後方に伸ばすと写真7のようにゴロンと背中が床に着いてしまうので、そうならないよう写真8のように膝で相手の体を固定している。

【写真8】ひざを使って相手の体を固定しよう 【長谷川亮】

「胸が硬くなると猫背になりがちですが、胸を伸ばすストレッチをすると姿勢もよくなります。さらに肩こりも改善されるストレッチです。胸の筋肉が硬い人だと腕が後ろに回らないんです。最初は手を後ろにやるぐらいでもいいんですけど、慣れてきたらちょっと負荷を掛けるようにします」(加藤さん)

所英男のストレッチ

【写真9】腰が痛い時に行う足の裏側からお尻のストレッチ 【長谷川亮】

 また、所が練習後に実践しているというストレッチも2つ紹介しよう。

 写真9、写真10は腰が痛い時に行う足の裏側からお尻のストレッチ。

【写真10】右手で触っている部分が伸びている 【長谷川亮】

【写真11】デューク更家さんのようだが、これは肩の後ろ側と体側のストレッチ 【長谷川亮】

 写真11、写真12はデューク更家氏みたいな格好だが、肩の後ろ側と体側のストレッチだ。

【写真12】こちらも右手で触っている部分が伸びている 【長谷川亮】

 どちらも写真10と写真12で右手で触っている部分が伸びている。肩の部分というのは、所曰く「四本足で言ったらケツになる部分なので、ここをよく伸ばすように言われています」とのことだった。

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著者プロフィール

病弱だった幼少期にプロレスファンとなり、格闘技ファンを経て2002年に格闘技雑誌編集部入りし、05年からフリーライターに。『スポーツナビ』にはそのころから執筆。病床で何度も読み返したため、『プロレススーパースター列伝』は大体暗記。趣味は下手の横好きでキックボクシングとブラジリアン柔術

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