“モンゴル帝国”の対抗馬は現れるか? 今春、初土俵を踏んだ注目の新弟子たち
実力は折り紙つきの大輝は前相撲から
出世披露に臨む関西学院大出身の宇良(写真中央)。彼らには復活した相撲人気をさらに高める活躍が期待される 【写真は共同】
恵まれた体格と長いリーチを生かした突っ張りが最大の武器だが、立ち合いで鋭く踏み込んで左上手を浅く引き、胸を合わせて攻め立てる相撲も力強い。大学最終年はビッグタイトルに恵まれず、幕下付け出し資格を得られずに前相撲からのスタートとなった。
「久しぶりに緊張した」と話すが、前相撲2番はいずれも圧勝で難なく一番出世を果たした。順調にいけば年内に幕下。来年中には幕内の土俵に上がっているだろう。
話題先行の宇良は舞の海のような名脇役に
宇良が出場する春場所2日目に行われた前相撲には異例となる約30人の報道陣が集結。通常は身内の観戦がほとんどで会場はガラガラだが、この日は約300人の観客が序ノ口前の土俵目当てに訪れた。しかし、注目の宇良は奇手を“封印”し、押しに徹する正攻法で相手を圧倒。翌々日2番目の相撲も押し出しで2連勝した。
「基本に忠実な相撲を取ろうと思った」
部屋の稽古では四股やすり足、ぶつかり稽古など、今は基本の繰り返しに終始する。前相撲2番の相手はいずれも相手は15歳。地力的にも得意技を出すまでもなかった。
「(居反りや足取りは)出すときになったら出すけど、それを狙ってというのはない」
学生時代よりも体はひと回り大きくなり、たくましくなった。今は話題が先行するが、しっかり鍛えてプロの体ができれば舞の海のような“名脇役”として幕内で活躍する可能性も秘めている。
彼ら日本人若手ホープたちが順調に育ち、近い将来、角界を席巻するモンゴル勢の対抗勢力となれば、復活した相撲人気もさらに拍車がかかるに違いない。