“モンゴル帝国”の対抗馬は現れるか? 今春、初土俵を踏んだ注目の新弟子たち
将来楽しみな若手力士たち
東幕下10枚目でデビューした御嶽海(写真右)。3月場所は6勝1敗と力を発揮した 【写真は共同】
角界における“モンゴル帝国”の牙城はしばらく揺らぎそうもないが、近い将来、その勢力図も塗り変わるかもしれない。十両ではスケールの大きさを感じさせる輝(かがやき)や18歳の阿武咲(おうのしょう)、天性の相撲勘が光る阿炎(あび)ら、将来が楽しみな日本人若手力士が台頭。さらに今年の春場所は実力者から超個性派まで多士済々の顔ぶれが角界の門を叩いた。
名門再建へプロ入りを決めた学生&アマ横綱
プロ初戦は明生(めいせい)を左ハズで押し込もうとするが相手に右上手を許し、上手投げを残しながら寄り切り。
「立ち遅れました。(プロの立ち合いには)慣れてない。突きたかった」と取組後は反省の弁が並ぶ。前夜は1時間ごとに目が覚めたらしく、「今までの相撲人生の中で一番緊張した」と明かす。続く一番も「上半身が浮きましたね。突き放せなかった」と自分の相撲を取らせてもらえず、大翔鵬の肩すかしに屈してプロ初黒星。
「本番に最高の形を持っていかないといけないけど、持っていけなかった」
アマチュアはトーナメント戦なので1日に数番を取る。その中で徐々にペースを上げていけばいいが、プロは基本的に1日一番だ。その日の一番にいかにピークを持っていくのかが重要なのだが、いかに実力があってもアマチュア出身力士が最も戸惑うのがまさにこの部分。
「悔しいですけど、あと5番あるので気持ちを切り替えていきたい」と前を向いた。
その後は徐々に本来の動きを取り戻して5連勝、デビュー場所は6勝1敗としっかり結果を出した。ただし課題も残る。
「立ち合いがまだですね。合わなかったし難しい。自分の相撲は取れなかったけど6番勝てて良かったです」と振り返る。タイミングを微妙にずらしてきたり、有無を言わせぬスピードであったりと、プロには立ち合いのインサイドワークに長けている海千山千のつわものたちが手ぐすねを引いて待っている。相手と呼吸を合わせつつ、いかに自分のペースに持ち込んで相撲が取れるか。プロで成功するためにはその部分が大きなカギとなってくる。