ポスト谷繁を狙う中日・松井雅人の成長 控え捕手から兼任監督のライバルへ

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見えてきた違う景色

2月11日に谷繁兼任監督(手前)からノックを受ける松井雅。前日の高橋周平に続き、個人ノックに抜てきされるのは今キャンプ2人目となった 【写真=大賀章好】

 13年は自己最多の45試合に出場。さらに昨年は開幕2連敗の後に迎えた3月30日の広島戦(ナゴヤドーム)に先発。プレッシャーのかかるシチュエーションだったが、カブレラ、田島慎二、福谷浩司の3投手を好リードし、広島打線を3安打無得点に完封。完封勝利は松井にとってもプロ入り初だった。

「最高のスタートになったとは思うんですけど、ちょっとうまくいき過ぎていた部分もありましたからね」

 とはいえ、捕手としては谷繁兼任監督(87試合)に次ぐチーム2位の63試合に出場。試合出場を重ねることで、これまでとは違う景色も見えてきた。

「試合に出ることによって課題も出てきます。試合に出るようになれば相手も配球などを研究してくるので。たとえば前のカードでは抑えられたのに、次のカードではめった打ちにされるということもありました」

 谷繁兼任監督から試合後に呼び出され、苦言を呈されることもあったと語る。しかし、そういう場合でも事前に「多分、ここを言われるのだろうな」と見当がつき、実際に注意されることがあったという。それも捕手として、谷繁兼任監督のレベルに近付いていっている証拠だと言えるだろう。

 谷繁兼任監督の控えから、正捕手を争うライバルへ。その機運はこれまで以上に高まっている。

投手に信頼される捕手へ

 谷繁兼任監督は今シーズンでプロ通算27年目。昨年までで通算2991試合に出場しており、あと27試合で野村克也氏(元南海ほか)が保持するNPB最多出場記録を塗り替える。

 松井にとっては依然として雲の上の存在であることに変わりはない。だが、谷繁兼任監督が現役でいるうちに世代交代を果たしてこそ意味がある。

「去年ももちろんレギュラーをとるつもりはありましたが、とにかく試合に出てチャンスをもらって、何とか結果を出したいという気持ちでした。今年はこういう状況ですし、しっかり自分がマスクをかぶりたいという思いが強い」

 チームは昨年、28年ぶりの2年連続Bクラスという屈辱を味わった。ここ2年間は第2捕手として定着している松井も、その責任を痛感している。

「入団したときよりは成長できていますが、まだまだレベルは低いと思います。投手に信頼されるキャッチャーになりたいんです。扇の要として、とにかくどっしり構えていたい。『松井に投げたら止めてくれる。松井のサインどおりに投げたら抑えられる』と言われるように頑張ります」

 そのために心掛けているのは“正確性の向上”。昨年は谷繁兼任監督の2割4分2厘を上回る盗塁阻止率3割1分4厘をマークしたが、「もっと刺せるはず。自分のミスでセーフになっていることが多いですから」とレベルアップを誓っている。

開幕マスクなるか?

打撃では昨年7月にプロ初本塁打をマーク。今年はさらなるレベルアップを誓う 【写真=大賀章好】

 そしてもちろん、すべての基本となった捕球練習は今も欠かさずに継続している。この取材日にも全メニューを消化した後、北谷球場内の薄暗い室内ブルペンで、パートナーに投げてもらったショートバウンドをひたすら捕球していた。

 見守る首脳陣も、チームメートも、ファンもいない。だがその成果を身をもって味わっているからこそ、信じて継続することができている。

「数は少なくてもいいから、その時間は集中して続けています。それが自分にとって自信になるし、とにかく毎日やることが大事。それは多分、これからも永遠に変わらないと思います」

 谷繁兼任監督は昨年、横浜(現横浜DeNA)時代の94年から継続している開幕スタメンマスクを21年連続まで伸ばした。それをストップさせる気は? と問いかけると、「かぶりたいですね」とポツリと本音を漏らした。

「みんな『雰囲気が独特』と言いますもんね。監督のようなずっとレギュラーを張ってきた人でも『開幕戦だけは違う』と言いますし、達川(光男)コーチもそう言っています。それを経験したいという気持ちはあります」

 新生・中日ドラゴンズ。その旗手を務めるのは、この男なのかもしれない。

(文=吉見淳司)

松井雅人プロフィール

1987年11月19日生まれ。群馬県出身。桐生第一高では2年春、同夏に甲子園出場。上武大では2年春から正捕手を務め、4年秋には神宮大会準優勝に輝いている。2010年ドラフト7位で中日に入団。初年度から開幕1軍入りを果たし、13年から第1捕手を務めるようになった。今年は“ポスト谷繁”としての活躍が期待される。昨年までの実働5年間で139試合出場、38安打1本塁打7打点、打率1割6分4厘。

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