フリスビーを使ったニュースポーツ 「アルティメット」の3つの魅力

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(1)プレーがとにかくカッコイイ

 アルティメットでは、フリスビーのことを「フライングディスク」と呼ぶ。遊びのフリスビーとはひと味もふた味も違う。最大の違いは、投げ方だ。「フリスビーを投げてみて」と言われると、多くの人は手首と腕を内側に曲げて投げる。みんながやる“あの投げ方”は、バックハンドスローと呼ばれるが、アルティメットには他にもさまざまな投げ方の種類がある。



 サイドスロー(身体の利き手側から投げる)、ハンマースロー(頭の上から投げる)、スクーバ(顔の近くから投げる)など、想像もつかないような投げ方の種類があり、それがとにかくカッコイイ。また、角度をつけることによりカーブをかけられるし、シュートと呼ばれる長い距離のスローを投げることもある。練習をすれば100m近くディスクを飛ばすことができる。

 その他にも、キャッチ、ラン、ダイブといった激しくダイナミックなプレーがあり、観る者を魅了する。ちなみに「ultimate(究極)」の語源は、さまざまな身体能力を求められる点だと言われ、とにかくプレーがカッコイイのだ。



米アルティメットプロリーグ(AUDL)2014年度ハイライト - YouTube

 世界でもっとも有名なアルティメットプレーヤーで、AUDL(アメリカンアルティメットディスクリーグ)・シカゴワイルドファイア所属のブロディ・スミスは、フリスビーのトリックショットの達人としても知られている。彼のスーパーショット動画は世界中で人気を集めており、まるでディスクをボールのように投げるプレーの数々には驚くばかりだ。



Top 21 Frisbee Trick Shots 2012 | Brodie Smith - YouTube

(2)カンタンに始められる

【Getty Images】

 最初に多彩な投げ方、ダイナミックで激しいプレーの数々を紹介したため、「ハードルが高い……」と思われるかもしれないが、実はアルティメットはとってもカンタンに始められる。

 準備する物は、ディスクと仲間と広い場所だけ。初心者はまず、友達とディスクを投げるところから始めればいい。コツさえつかめばどんどん投げられるようになるし(ごくまれに、筆者のように上達しない人もいるが……)、上手に投げられなくてもその他のプレーでカバーできる。

【早稲田大学アルティメット部ソニックス】

 休日の代々木公園に行けば、フリスビーを投げている人が結構いる。また、江戸川の河川敷(JR小岩駅が最寄、アルティメットの聖地)や荒川の河川敷(北千住駅が最寄)、六郷土手などでアルティメットが盛んに行われている。

 競技レベルもさまざまで、本気で日本一を目指している社会人チーム、学生チームもあれば、日ごろの運動不足解消のため、サークル感覚で集まっている大人たちもたくさんいる。まだまだマイナー競技のため、みんな仲間を求めていて、HPやツイッターなどでコンタクトを取れば、カンタンに練習に入れてもらえるだろう。競技人口が少ない分(日本では4,000人程度と言われている)、世界が狭く、みんなフレンドリーなのもこの競技の魅力だ。

 アルティメットは、大学生または社会人になってから始める人が多い。大学から競技を始めて日本代表になる選手もたくさんいる。また、社会人になっても仕事と両立しながら全国大会に出場する人も大勢いる。趣味やストレス解消にフリスビーをカッコよく投げたい人はもちろんのこと、大学生や社会人になってから、なにか新しい団体競技を始めたくなったり、アスリート感覚で少しハードに運動をしてみたい人にとって、うってつけの競技といえる。

(3)ファッションとしてもオシャレ

【Getty Images】

 さらに、フリスビーの魅力のひとつは「オシャレ」なところだ。近ごろはファッション雑誌でもフリスビーが取り上げられていて、例えば『POPEYE』では付録にフリスビーが付いていたりする(2013年12月号)。

 元々、フリスビーは1940年代に米国のイェール大の学生が「フリスビー・パイ・カンパニー」のパイ皿を投げて遊び始めたことが起源とされる。日本には60年代に上陸し、当時は普及しなかったものの、70年代後半の西海岸ブームに乗って大流行。『POPEYE』は当時もフリスビー特集号を組んでおり、ブームの火付け役となった。西海岸のシティボーイに憧れた若者たちにとって、フリスビーは一種のファッションアイコンだった。

 アルティメット用の公式ディスクは、普通のフリスビーに比べて少し大きくて重いのが特徴。海外や日本にもディスク専門のメーカーがあって、インターネットで気軽に購入できる。

【塗木拓朗】

 ディスクにもさまざまなカラー、デザインがあり、オシャレなものやユニークなものがたくさんある。また、人気のアウトドアブランド、パタゴニア(patagonia)やCHUMS(チャムス)などでも、洗練されたデザインのフリスビーが販売されている。

 公園で、サッカーや野球少年に混じってフリスビーを颯爽(さっそう)と投げていれば、それだけで注目を浴びること間違いなし。また、こんなふうにリュックフリスビーをくっ付けて、街中を歩いてみてもカッコイイ。
 まずは、フリスビーを片手に街に出てみよう。きっと、あなたもフリスビーの魅力にはまってしまうだろう。

(文・塗木拓朗)

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