楽天ドラ1安楽智大を変えた肉体改造 愛媛と東北の思いを背負い開幕ローテへ

寺下友徳

愛媛の期待を背負い夢を与えられるように

仙台で行われた入団発表で東北のファンと触れ合う安楽。愛媛と東北の期待を背負いプロに挑む 【写真は共同】

 こうして、つまずきもプラスに変えるべく次なる目標を明確に設定し、それをクリアする努力を怠らない安楽智大。この思考は幼少期からのものでもある。

「安楽くんは小学校3年の時、高知県から転校してウチの少年野球チームに入ってきたのですが、当時から目標がはっきりしていたのです。普通の子であれば『甲子園に行きたい。プロ野球選手になりたい』となりますが、彼は『甲子園に行って、仙台育英高の(佐藤)由規投手(現東京ヤクルト)の球速“155キロ”を超える!』と言っていましたからね」

 当時の監督、山本和範さんが証言する彼の目標は、一昨年夏の甲子園でタイ記録という形で成し遂げられた。また、彼が常に夢を持ち、高いモチベーションを保てたのは野球に関心・造詣が深い愛媛県の環境も欠かせない要素である、時にその期待がプレッシャーとなることもあったが、彼が最終的に「ドラフト1位指名」の目標を達成できたのは、周囲のサポートもあってのものである。

 事実、昨年12月28日、宇和島東高OBで、プロ野球、MLBでも実績を残した岩村明憲(BCリーグ・福島ホープス選手兼任監督)、済美高の先輩・福井優也(広島)ら、愛媛県にゆかりを持つプロ野球現役選手・OBが一堂に会した「プロ野球愛媛県人会懇親会」に出席した安楽は愛媛県人としての責任をこう語っている。

「自分も小学校時代には東京ヤクルトが秋季キャンプ中に行っている野球教室で岩村さんや宮出(隆自・宇和島東高OB・現東京ヤクルト打撃コーチ)さんから教えてもらってうれしかったし、夢を与えていただいた。自分も愛媛県出身で頑張っていると言われるようになりたい」

東北の地で感じた楽天への思い

 だからこそ、入団会見時に初めて訪れた東北の地で、安楽は人々が楽天に寄せる思いも敏感に感じ取った。「自分自身は東日本大震災の被害に遭っていないので、偉そうに言える立場では全くない」と前置きを入れた後、彼は芽生えた感情を赤裸々に語る。

「仙台空港から仙台駅へ電車で向かう中で、(車窓から被災地を見て)まだ復興はしきれていないということも自分では感じました。少しでも皆さんの力になりたいと強く思います」

 愛媛の期待も東北の思いも背負う覚悟を持った18歳。「子どもたちに夢を与えるプロ野球選手」への誓いを立てた安楽智大は1月10日に金の羽を開き、東北へと飛翔する。

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著者プロフィール

1971年、福井県生まれの東京都東村山市育ち。國學院久我山高→亜細亜大と進学した学生時代は「応援道」に没頭し、就職後は種々雑多な職歴を経験。2004年からは本格的に執筆活動を開始し、07年2月からは関東から愛媛県松山市に居を移し四国のスポーツを追及する。高校野球関連では「野球太郎」、「ホームラン」を中心に寄稿。

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