マラソン挑戦への正しい道のり 「いきなりマラソン」は体をダメにする!?

青山剛

1年で7割がランニングをやめるという現実

【青山剛】

 ランニングを始める一般市民ランナーを見ていて、下記が一番多いケースです。

(1)あまりランニングをしていないのに、ブームに乗って大都市フルマラソン(例えば東京マラソン)にエントリー。
(2)良くも悪くも「当たってしまって」慌てて走り始める。
(3)忙しくて練習もままならず、急に走り始めて足が痛くなる。
(4)不安を抱えたまま大会当日を迎える。
(5)何とか歩きを交え完走したものの、大会後、長い間足の痛みが取れない。
(6)痛みや違和感が残って、辛い思い出しか残らないので走るのを止めてしまう。

 実はランニングブームの陰で、1年で7割の方がランニングをやめていて、さらにその中の7割は半年でやめているそうです。その半年こそが、大都市マラソン当選から大会当日までの半年というわけです。

 ホノルルマラソンのように制限時間がほぼなく、お祭りのような大会は別にして、国内マラソンの場合はたいてい6時間前後の制限時間が設けられています。従って、フルマラソンにチャレンジするには、多少余裕を見ても、少なくとも5時間半くらいで走り切れる状態を作ってから挑むことをおすすめしています。

フルマラソン参加までのチェックポイントとは?

【青山剛】

 これまで一般市民ランナーを指導してきた経験から、下記が「ランニングを長続きさせる、フルマラソン参加までのおすすめ手順」になります。

(1)5キロを35分で走れるようになれたら……10キロ大会挑戦OK!
(2)10キロを65分、もしくは1時間連続でラクに走れるようになれたら……ハーフマラソン大会挑戦OK!
(3)ハーフマラソン大会を2時間30分以内で走れるようになれたら……フルマラソン大会挑戦OK!
※「挑戦OK」とは、そのトレーニングへ移行できるということです。大会で必ず走り切れるということではありません。
 もちろん各大会では制限時間や関門時間が違うので一概には言えませんが、初心者の方はこのくらいの手順でしっかりトレーニングを進めていけば、少なくとも「いきなりマラソン」の方より長くランニングを続けられます。ケガや故障も少なく、燃え尽きることもなくなるでしょう。

 この手順は私が本業とするトラアイスロンでも同じことが言え、いきなりロングディスタンスに参加される方は伸び悩みも早く訪れ、長続きしない傾向があります。

 何事も正しい手順が長続きの秘訣です。正しい手順でフルマラソンに挑み、いつまでも楽しくランニングを続けていきましょう!

参考資料:「青山剛のスイッチ・ランニング(高橋書店)」(1月5日発売)
初心者〜初級者が正しい手順でランニングを上達していけるメソッドが満載です!

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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